国土交通省は12日、第7回目の「市場機能を積極的に活用した住宅金融のあり方懇談会」を開催、最終回となる今回はこれまで検討を重ねてきた内容をまとめた報告書を提出した。
「市場機能を積極的に活用した住宅金融のあり方懇談会」は、住宅政策において市場機能を積極的に活用した住宅金融のあり方等についての見直しが求められているとし、昨年10月に国土交通省が設置。東京大学教授の八田達夫氏を座長に、消費者、有識者、住宅産業界、金融証券業界、関係行政機関およびオブザーバーとして住宅金融公庫が参加し、これまで6回にわたり、住宅金融のあり方について検討を行なってきた。
具体的には、「公庫融資の見直し」「住宅金融の今後の考え方」「超長期固定融資の提供のあり方」「証券化の効用」など9項目について検討を重ねた結果、「証券化を前提とした貸出市場の創設」「証券化市場の形成」「資本市場の形成」を早急に取り組むべき課題としてあげ、その際に留意すべきポイントとして「新システムにおける消費者の負担」「新たな融資機関の参入による競争の促進」「中古住宅市場の整備」など6項目についても併せて報告書に盛り込まれた。
「証券化推進のために必要な条件整備」については、各市場に置いて証券の高い流動性の確保および低コストシステムの形成の観点で行なう必要があるとし、具体的な条件整備として3点が挙げられている。
また、住宅ローンの証券化による効用については「市場機能を活用した本格的な住宅政策の展開などの期待ができる」とし、報告書のむすびに「公庫設立以来50年以上が経過しており、今回の見直しは極めて大きな転換点となる。それだけに住宅取得を望む消費者に与える影響も大きいが、社会情勢の変化などをふまえると新システムへの移行は、円滑かつ迅速に行われなければならない」と明記されていることからも、国土交通省では今回の報告書の内容を8月の概算要求に盛り込み、通常国会に提出。2004年度中には、民間住宅ローンの証券化システムを立ち上げたい方針。