(社)全日本不動産協会は7日、同協会が実施している全日紀尾井町フォーラム研究プラグラムにおいて調査研究を重ねてきた中古住宅市場の整備についての報告と提言「中古住宅とその市場はどうあるべきか」をまとめ、発表した。
同協会では、行政の動きに先駆け2000年9月19日の第1回目を皮切りに、2年間にわたり計15回の研究会を実施。稲本洋之助委員長(東京大学名誉教授・弁護士)のもと、学識代表委員7名、業界代表委員6名により、ハードに関する事項3点、ソフトに関する事項3点、それらに関連する事項3点にポイントを絞り、検討、研究を重ねてきた。
今回まとめた提言・報告書によると、米国と比較しても日本の住宅の平均寿命は非常に短く、また生涯の住宅取得回数も半分程度という結果が出ており、日本においては土地中心の市場であったことがわかる。今後の不動産業の発展をめざすためには、早急に中古住宅市場の整備が必要があり、そのためにはまず、住宅の生産においては、住宅は耐用性と汎用性に優れた耐久財商品として供給することが重要で、SI住宅までとはいかずとも、大幅な間取り変更が保証されるような住宅であるべきではないか。また、住まう側は、性能・品質を維持するためのメンテナンスとリフォームをきちんとする必要があり、そのためにも今後、リフォーム費用負担を所得控除や一部税制控除によって軽減するなどの税制の導入も検討すべき課題であるといった提言も盛り込まれている。会見上で稲本委員長は、「不動産業界、業者にとって、中古住宅市場の整備は急務の課題。今後の行政の動きにもふまえ、活性化されることを期待したい」とコメントした。
なお、この報告と提言は、近日中に全日全会員に配布される。