(株)住友生命総合研究所は、2003年から2010年までの東京の不動産マーケット指標(主としてオフィスビル賃料)の予測を行なった。
これによると、2003年のオフィスビルの大量供給は、空室率を2.9ポイント上昇させるインパクトはあるものの、需要増により空室率は1.8ポイントに留まる見込み。しかし、オフィスビルの賃料については、大量供給の影響を受け2005年までは下落が続く模様。こうした市況の悪化は、新規供給量(オフィスストックの増加面積)の減少、および新規需要量(オフィス需要量の増加面積)の増加をもたらすため、空室率は2004年の5.0%(データ:東京ビルヂング協会)をピークに2006年まで下降すると見られている。それ以降については、2008年にいったんマイナスに転じるが、総合ではプラスを示し、結果、同研究所では、2003年から2010年までの賃料の年平均変化率は▲0.6%となると予測している。
併せて、ファシリティマネジメントの普及などにより、1人当たりの床面積がほとんど成長しないというリスクシナリオでの検討も行なった。
東京ビルヂング協会「ビル実態調査のまとめ」の数値をもとに、上限付きの関数を設定、算出した結果、1人当たりの床面積は2003年から2010年まで年平均0.6%の成長に留まると予測。オフィス需要量についても、年平均1.0%の成長に留まるという結果になった。
こうした結果を踏まえると、空室率は2005年の6.0%まで上昇を続け、賃料は2008年の約17,400円(月/坪)まで下落を続けると予想される。よって、賃料の2003年から2010年までの平均変化率は▲2.4%。オフィス着工量は、この市況の悪化を受け2005年から100万平方メートルまで大きく落ち込み、新規供給量も減少すると見られていることから、空室率は2006年より下落を開始。予測期間の後半は5%台前半で推移し、賃料は2009年からは若干上昇に転じると同研究所では予測している。