(株)長谷工総合研究所は19日、住宅系不動産ファンドの現状と周辺環境の変化、住宅市場への波及についてまとめたレポートを発表した。
上場開始から約2年半が経過、現在6銘柄が上場しているJREIT市場。いずれの銘柄も、投資口価格は上昇もしくは横ばいと順調に推移。また、配当利回りについても、予定も含めて5~6%と高い水準を示している。現在のところ、その運用資産はオフィスビルが中心ではあるが、商業施設や住宅を組み込む銘柄も登場。住宅については2銘柄が賃貸マンションを運用資産としている。
同研究所のレポートによると、賃貸マンションを運用資産として考えた場合のメリットとして、オフィスビルとは異なる不動産へ投資するというリスク分散の効果、テナント数が多く1件のテナント退去が全体に及ぼす影響が小さいことなど安定性が高いことを挙げている。また、2003年問題によるオフィスビルの賃料の低下や空室率上昇に対する懸念の高まり、さらに住宅を安定投資先と考える海外投資家の参入など、市場および事業環境の変化により、賃貸マンションが不動産ファンドの運用投資として注目され始めていると指摘。
一方で、入居期間が短いためなど管理面でコストがかかること、投資対象となるような物件が少なく取得が難しいことなど、デメリットについても触れている。ディベロッパーとしても、分譲市場が好調であれば賃貸マンションを建設してファンドへ売却するメリットが少ないことも指摘している。
しかしながら同研究所では、今後、住宅系の不動産ファンドの増加で、中長期の運用に耐え得る品質の賃貸マンションの供給が徐々に進むものと予想。すでに、新事業としてファンド向け賃貸マンション開発を開始したディベロッパーも出てきており、住宅系不動産ファンドの発展が期待できると同研究所では見ている。