不動産ニュース / 開発・分譲

2003/9/19

2003年基準地価公示に業界・各社がコメントを発表

 国土交通省より19日に発表となった「2003年都道府県地価調査(基準地価)」結果について、業界団体・各社のトップが以下の通りコメントを発表した。

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田 和夫氏
 地価は依然として下落基調にあるものの、都心部の住宅において上昇・横ばいの地点が広がり、区部都心部の商業地では比較的高い上昇率を示す地点も現れた。3月に発表された地価公示や8月の路線価においても、ほぼ同様の動きを示しており、地価は都心部を中心に落ち着きを取り戻しつつあるように見え、下げ止まりの兆しとなることを期待したい。
 本会の9月1日時点での中小不動産業経営動向調査においても、依然として“地価下落”が経営上の問題点として挙げられていたものの、「現況」および「将来の見通し」が大幅な改善傾向を見せている。また、本会が先般行なった「平成15年度税制改正効果に関する調査」では、約6割が不動産流通税の減税効果があったと回答している。
 流通課税の減税やローン控除および低金利等の政策効果により、一次取得者を中心に大規模マンションの需要が好調で都心回帰減少が顕著だが、市場活性化のためには、買い換え層を含んだ全体的な底上げが必要であり、さらに土地保有者にとってもメリットのある施策の実施が急務である。そのためには、今年末で適用期限切れを迎える住宅ローン控除制度の延長および拡充は不可欠で、また個人の土地長期譲渡所得課税の税率の引き下げも必須である。さらに、土地建物に係る固定資産税の実効税率の引き下げも重要だ。これらは平成16年度税制改正に向けた本会の重点要望項目であり、また国土交通省の税制改正要望においても大部分が盛り込まれているので、是非とも実現を強く望む。
 住宅投資は経済全体への波及効果が高く、幅広く即効性を有していることから、デフレを克服し日本経済を本格的な回復に導くためにも、土地住宅税制のさらなる改善を望むとともに、消費者マインドを刺激するような画期的で魅力的な施策を期待する。

■三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙 弘道氏
 全国平均では前年比住宅地▲4.8%、商業地▲7.4%と12年連続の下落であり、わが国の資産デフレの深刻な状況が如実に示されている。しかしながら、東京都区部など大都市部では下落率は縮小傾向で、特に底堅い土地需要のある都心一等地や、都市再生に資する大規模開発などが具現化したエリアでは上昇しており、官民挙げての取り組みが実を結びつつある。
 株価や企業収益の回復など景気に底打ち感も出てきているが、わが国経済を本格的な回復基調とするためには、土地資産デフレの克服が急務であり、継続的な政策支援が不可欠である。都市の魅力と国際競争力を高め、国内外の多くの才能ある人々の交流と新たな投資を促進して需要創造を図ることが必要であり、われわれディベロッパーも知恵を結集し、街トータルの付加価値を高めるよう尽力する所存であるが、政府においても、一層の都市再生施策と、固定資産税負担軽減や住宅減税の拡充等の税制上の措置を併せて早急に講じるべきである。

■三菱地所(株) 取締役社長 高木 茂氏
 全国平均ではいまだ地価下落幅が拡大しているものの、東京都区部においては、商業地、住宅地とも下落幅が縮小し、横ばいや上昇地点も多く見られるようになっている。
 これは、各地域の再開発による、ビジネス機能の更新や、賑わい創出による集客力など、不動産の付加価値向上が反映されたものと考えている。例えば、丸の内はこれまでのオフィス立地としての特性に加え、開業後1年経過した丸ビルの効果により、商業立地としての魅力がますます高まっている。
 商業地については、東京都心部へ商業店舗の出店が相次いでいるため、数限られた都心優良地への買い意欲は依然強い。但し、同一エリア内でも、条件の違いによる価格差が広がっており、物件ごとの個別性がよりいっそう強まっている。
 住宅地については、都心の大規模マンション適地はディベロッパーが競合するため価格が高くなるケースがあるものの、特に郊外では価格が弱含みになる地域は依然として多い。また、同一エリアであっても、商業地と同様、条件の違いによる価格差はよりいっそう広がっている。
 デフレ対策のためにも、土地の流動化が必要である。不動産投資を促進し、市場を活性化するため、住宅ローン減税の期間延長はもちろん、重い負担になっている固定資産税・都市計画税等の軽減を強く要望する。

■東京建物(株) 取締役社長 南 敬介氏
 地価が全国で12年連続して下落し、特に地方都市では地価下落に歯止めがかからないなど、「土地資産デフレ」はわが国経済にとって深刻な問題となっている。この間、国民の富が約1,000兆円喪失したにもかかわらず、その根本原因に対して有効な対策が打たれないまま、この問題が長期間放置されてきたことは誠に遺憾である。
 長引く「資産デフレ構造」から一刻も早く脱却することが日本経済を建て直すために必要不可欠であり、そのためには「土地税制」の抜本的改革、とりわけ、商業地の固定資産税など保有課税の軽減はデフレ経済脱却にとって緊急に取り組むべき最重要課題である。

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