三鬼商事(株)は7日、2003年10月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区の2003年10月末時点の平均空室率は、前月比▲0.01ポイントの8.43%。10月は港区や中央区の大型ビルに統合などのオフィス需要が見られ大型既存ビルの空室在庫が減少。同空室率は2ヵ月連続で上昇が止まっており、同社では、今年度の大型供給の影響は一段落したものとみている。1~10月までに竣工した大規模ビル・大型ビルは44棟、延床面積合計約60万坪であったが、統合や集約などの大型需要も旺盛だったことから、そのうちの多くが満室または高稼働、来春の新規供給に向けても引き合いが強まっている。
港区の10月末時点の平均空室率は、前月比▲0.19ポイントの10.27%。同区では、汐留、品川、六本木と大規模開発が相次ぎ、大型供給とリストラの影響で都心5区の中でも最も同空室率が高水準となった。しかし、9月以降は、大型新築・既存を問わず成約や入居が進んだために同空室率上昇に歯止めがかかり、募集面積が減少してきている。来春品川エリアで大規模ビル2棟の完成が予定されているが、新築ビルの需要が旺盛なため、両ビルとも竣工時に満室稼働の予定。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年10月末時点の平均空室率は、前月比▲0.07ポイントの10.52%。10月は船場地区や心斎橋・難波地区で既存ビルの募集面積が減少。船場地区では館内増床、心斎橋・難波地区では各種学校の成約が目立った。同社では、特に10月7日に開業した「なんばパークス」の盛況ぶりが話題となっていることから、ソフトオフィスや店舗の需要は活発化するものとしている。一方、梅田地区、淀屋橋・本町地区、新大阪地区では、リストラの影響が続いており、特に淀屋橋・本町地区では、大企業の統合にともなう解約などの動きが目立ち、募集面積が増加している。同社によれば、1,000坪以上の大規模なリストラはやや落ち着いてきたものの、小規模なリストラ移転の動きはまだ見られ、特に100坪以下の移転については、前年に比べ増加傾向となっている。
なお、江坂地区の10月末時点の平均空室率は、前年末比1.45ポイント上昇の14.63%。同地区では新規供給が9年間止まっているため、大きな変化は見られない地区であったが、小型テナント解約の動きが出てきており、同空室率は緩やかに上昇している。隣接する新大阪地区で賃料相場の弱含みが強まっている影響から、同地区でも募集賃料の見直しが続いている。