(社)不動産流通経営協会(FRK、理事長:岩井重人氏)は「第9回不動産流通業に関する消費者動向調査結果」を発表した。
同調査は、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、同協会が1991年から隔年で、2001年からは毎年実施しているもの。
今回の調査は、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で03年4月1日から04年3月31日の間に引渡しを受けた住宅購入世帯を対象として実施した。調査票は2,525票発送、回答は918票で、回答率は36.4%。
調査結果によると、前年度調査時に比べ、住宅購入資金における「親族からの贈与」と「銀行等の民間ローン」の利用率が拡大、新築住宅購入者では、親族からの贈与が22.2%(前年度18.5%)、民間ローンの利用率が55.1%(同35.6%)となっている。
金額でみると、親族からの贈与額は前年度が738.8万円だったのに対し今調査では1,055.6万円、民間ローン利用額も前年度の2,305.2万円から2,806.7万円と大きく増加した。親族からの贈与額については、中古住宅購入者の平均額も1,009.4万円(同658.1万円)となり、新築・中古共に1,000万円をはじめて上回った。相続時精算課税方式を利用した購入者の増加によるものと考えられる。
また、民間ローン利用者の7割が短期固定タイプを返済金利に選択しており、そのうちの6割が固定期間3年以下の商品だった。
買い換えを伴う住宅購入者のうち84.8%は売却損が発生しており、発生率は年々増加を続けている。近年は増加幅が小さくなってきたものの、売却損の金額は拡大傾向にあり、今調査では「1,000万円以上の損」をした世帯が64.3%(52.9%)となった。特にバブル期を含む1988年~97年の10年間に竣工した「築5年超~15年以内」の住宅において売却損の額が大きく、「築10年超~15年以内」で2,136.5万円、「築5年超~10年以内」では2,070万円であった。
また、戸建に比べマンションの売却損発生率が高く、90%超の物件で売却損が発生している。
また、「住宅ローン減税制度が住宅購入に影響した」とする世帯が前年度比約10ポイント増加し、新築住宅購入者の60.3%、中古住宅購入者の44.1%であった。
本調査の詳細は、同協会から10月末に出される予定。