旭化成ホームズ株式会社・二世帯住宅研究所(東京都新宿区 所長:熊野勲氏)は21日、「二世帯同居・この10年、定点調査で振り返る同居意識と実態の変容」について過去の調査結果をもとに調査期間である1994年からの10年間で、二世帯同居で暮らす親世代、子世代の意識の変化について考察、結果の発表を行なった。
同社は、東京、愛知、大阪に居住する二世帯住宅居住者へ定点的に同居生活の実態、意識調査を10年間に渡って行なってきた。
同日、松本吉彦氏(旭化成ホームズ株式会社 主管研究員)から発表された調査結果の概要は以下のとおり。
同居の理由(子世代の回答)が10年前は、社会的なものが多かった(「親子が同居するのは当然」21.6%)が、今年は社会的な理由は減少し(12.7%)、「家事や育児で協力し合えるから」(46.6%、1994年の回答は32.5%だった)という理由が増加した。
社会的、経済的なものが要因となる同居は減少し、近年における同居の代表的な理由は「親の老後」「家事・育児協力」「三世代で楽しく」となっている。
また、世帯間の分離度が高ければ子世帯の不満は少なく、子世帯主導の家づくりの傾向が強まっていることと、完全分離型では3割が片世帯の賃貸化を意識していることなども調査で浮き彫りになった。
しかし、20年超の二世帯調査において、すでに同居を解消した人の中で、賃貸を考えたケースは24.4%あったが、そのうちの約3分の2にあたる15.6%は、「賃貸を考えたことはあるが、実際にはしていない」という回答であった。完全分離型の賃貸化しやすい間取りについては、設計時点で賃貸化を意識しておくことの重要性も明らかになった。地域性に関してはまだ分析していないが、過去の調査から、世帯住宅に関しては、東京都心のほうが『貸す』という意識が強いとのことであった。
どう調査結果に対し、小林秀樹氏(千葉大学工学部都市環境システム学科 教授)は「10年前には強制的だった二世帯居住が、介護サービスなどの充実や子育てを通して、選択的な二世帯居住になってきた。だからこそ双方の満足度もアップしてきた。このような調査結果は大変興味深い」など所感を述べた。
発表後に行なわれた質疑応答でも、「このような調査結果を踏まえて、旭化成ホームズの二世帯の住宅マーケットはどう変化するのか」という質問に対し、前向きに有効活用していきたいと、熊野勲所長らは回答した。