(社)日本不動産学会は24日、日本大学経済学部(東京都千代田区)にて、2008年度春季全国大会シンポジウム「サブプライム・ローン問題と日本」を開催した。
同シンポジウムは、サブプライム・ローンの影響が実体経済へと広がりをみせる一方で、欧米の年金基金や政府系ファンドなどが本格的にアジアの不動産へ投資し始めていることを受け、今後、わが国の不動産市場や不動産業、不動産ファンド運用業者のあるべき姿について方向性を探るもの。
ディスカッションに先立ち、(独)住宅金融支援機構住宅総合調査室主任研究員の小林正宏氏が、「アメリカの住宅市場と住宅金融市場の概要等」と題し、サブプライム・ローン問題の波及と影響について解説。
その後、小林氏に加え、ケネディクス(株)代表取締役社長の川島 敦氏、国土交通省不動産投資整備室長の佐竹洋一氏、三井不動産(株)上席主幹の多田宏行氏、(株)野村総合研究所経営戦略コンサルティング部部長の立松博史氏、上智大学経済学部教授の山崎福寿氏、さらにコーディネーターに早稲田大学国際不動産研究所客員教授の植松 丘氏を迎え、パネルディスカッションを開催。サブプライムローンが日本の株価やファンドビジネスに与えた影響や、現在の不動産マーケットの動向などについてそれぞれ意見を述べた。
また、外国の年金基金などの資金を、日本の不動産市場に流入させるためにすべきことについて各人が見解を述べ、情報開示の必要性について強調した。
最後に、山崎氏が「再開発などを含め、証券化を利用したビジネスチャンスはたくさんある。日本を住みよい安全なまちにしていくため、情報開示を積極的に行ない、世界中の資金が日本に集まるようになれば」とまとめた。