東京急行電鉄(株)など6社が発起人となって設立されたクリエイティブ・シティ・コンソーシアム(法人会員52社)は26日、「クリエイティブ・シティ・フォーラム2011」を玉川高島屋ショッピングセンター「アレーナホール」(東京都世田谷区)で開催。会員や地元住民など、約190人が参加した。
同コンソーシアムは2010年8月に設立、東京都世田谷区の二子玉川地区で進められている再開発事業を社会実験のモデル地区にし、学識経験者や行政と連携して日本でのクリエイティブ産業集積に必要な都市環境要件を検討、「クリエイティブ・シティ」の実現をめざしている。
同コンソーシアム会長・小宮山宏氏((株)三菱総合研究所理事長)は、同フォーラムの冒頭、多摩川の自然に恵まれ、富裕層が高密度に居住している二子玉川の地にはめざすべき未来の社会の要素があるとしたうえで、「日本を何とか元気にしたい思いがある。歴史の検証を経て世界のモデルになっていく可能性があるという意識を持って活動を進めていきたい」などと挨拶した。
続いて行なわれた基調講演では、慶應義塾大学政策・メディア研究科准教授の金 正勲(キム・ジョンフン)氏が登壇、国土や天然資源、労働力人口に恵まれているBRICs諸国が台頭するなかで、日本の国際競争力を維持・向上させるためには、「都市や企業、学校などで一人ひとりの価値生産価値能力を高めていくしかない」と強調。物質的に豊かになった日本において「いいモノを作れば売れる時代は過ぎている」とも指摘し、消費者の感性に訴える商品を生み出す創造性が求められるとした。
また、金氏と同コンソーシアム副会長の松島克守氏(東京大学名誉教授)、NPO法人CANVAS副理事長・石戸奈々子氏、二子玉川在住のミュージシャン・向谷 実氏((株)音楽館社長)によるパネルディスカッションが行なわれ、それぞれの立場から「クリエイティブ・シティ」の実現に向けた取組み手法やアイディアを提示した。
同フォーラムでは、会員企業などからなるワークグループの活動も紹介。その1つコクヨファニチャー(株)などからなるグループは11年4月に、複合ビル「二子玉川ライズ・オフィス」内に開設する活動拠点「(仮称)カタリストフロア」の概要を紹介。企業や組織の枠を超え、新しいワークスタイルを研究していく場として活用していくという。