不動産ニュース / その他

2011/5/10

JREITが原動力、2010年度の上場企業不動産取引が大幅増/都市未来総研調査

 みずほ信託銀行(株)が9日に「不動産トピックス」を発行、(株)都市未来総合研究所の「不動産売買実態調査」をもとに分析した上場企業の不動産投資動向についてのレポートを発表した。

 それによると、上場企業等が2010年度に公表した不動産取引件数は689件(前年度523件、前年度比32%増)、取引額は2兆1,019億円(同1兆6,857億円、同25%増)と、前年度に比べいずれも増加となった。

 買主業種別の取得額割合は、「建設・不動産」が前年度24%から31%に、「JREIT等」が前年度25%から31%に、それぞれ割合を拡大。「建設・不動産」では大手不動産会社が再開発を視野に都心大規模ビルを取得したことや、大手不動産会社がJREITが資産入れ替えに伴い都心大規模物現を取得する事例などがこの要因となった、と指摘。「JREIT等」では、資金調達環境の改善を背景とした資産入れ替え・新規物件取得事例の増加や、スポンサー交代等再編に伴う取得増加が要因の一つである、と分析している。

 売主業種別割合では、「SPC」29%(前期26%)、「建設・不動産」26%(同23%)となり、この2業種で55%を占める結果に。
 業種にかかわらず大規模オフィスビルの売却事例の中には、買主が再開発を視野に取得した事例もいくつか見られたことから、今回の大震災を契機に、さらに耐震性の高い建物への需要が高まっていることから、建替目的の不動産取引が増加する可能性を示唆している。

 用途別取引件数割合では、住宅の割合が40%まで拡大。一方、事務所ビルの取引件数は前年とほぼ同数となったものの、割合は29%まで縮小した。事務所ビルは立地や規模と価格が折り合う物件が少ない状況が続いていることが減少の要因と分析している。

 立地別取引割合では、10年度は東京圏が85%と前年度の88%と比べ若干減少したものの、依然東京圏に集中している結果に。
 なお、都心3区が占める割合は48%と、前年度の58%と比べると縮小する一方、東京中心部の6区を除いた17区、および23区以外に立地する割合が拡大している。

 合併またはスポンサー交代に関わるJREITの物件取得額・売却額推移では、JREITの物件取得額は08年度から10年度までほぼ横ばいで推移していたものの、10年度は大幅増加。一方、合併に関わるJREITの売却額は944億円に達し、JREIT全体の売却額の49%にまで到達した。

 3月の地震発生後、東証REIT指数は一時下落したが、その後急速に回復したことを指摘。JREIT保有物件の震災被害が軽微にとどまったこと、またそれに関わる情報公開が速やかになされたこともJREITに対する信用力アップに繋がったとし、「今後不動産の主要な買い手であるJREITの安定力や信用力向上が、不動産取引市場拡大の一つの原動力になる」としている。

 詳細は、同社ホームページ内PDFを参照。

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