不動産ニュース / 政策・制度

2015/10/26

全国320万戸の「その他の空き家」、利活用有望なものは15%/国交省調査

 国土交通省は26日、第42回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開いた。

 今回の会合では、住生活基本計画見直しに向け論点となる、空き家の現状、住宅セーフティネット、子育て世帯や高齢者世帯の居住ニーズ等に係る調査結果が、国土交通省から発表された。

 空き家に関する調査では、「平成25年度住宅・土地統計調査」における空き家(820万戸)をより詳細に分類。「持家ストックにおける“その他空き家”」「貸家ストックにおける“賃貸用の空き家”」に分類し、空き家総数と空き家率を弾いた。その結果、前者は約320万戸・8.6%、後者は約430万戸・18.4%。前者は、平成15年度の同調査と比べ戸数が110万戸、空き家率は2ポイント増加していたが、後者は戸数が60万戸、空き家率は1.1ポイント増加だった。

 「その他空き家」について、耐震性、腐朽・破損、立地を踏まえ、利活用が有望なストック数を推計。その他空き家約320万戸のうち、腐朽・破損がなく、多少手直しするだけで利活用できるものは、新旧耐震合わせて約103万戸。このうち、住まいを決定する利便性において重要なファクターとなる駅までの距離が1km以内の空き家は全国で約48万戸と推計された。その他空き家におけるシェアは、約15%にとどまった。

 また、「その他空き家」の取得経緯については、「相続」が56.4%と、「新築として注文・取得」(20.5%)、「中古として購入」(16.9%)と大差を付けトップとなった。

 これらの調査結果を受け委員からは「今、空き家管理ビジネスが盛んだが、これらは活用を前提にしたもの。今後は取り壊しが必要な空き家を民間やNPO、自治体で適切に管理していく仕組みが必要だ」「危険な空き家の除却費用をすべて税金で負担していくのは大変だ。所有者の自主的な除却を進めるためにも、除却費用を保険料で賄う仕組みや住宅取得時にあらかじめ除却費用を徴収する“住宅リサイクル法”のような仕組みが必要になるのでは」「相続で取得した空き家を利活用した場合、贈与税を免除するような仕組みを要望する」といった意見が寄せられた。

 同会は、11月30日開催予定の次回会合から、住生活基本計画の改定案についての議論に入る。

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