(株)コスモスイニシアは、新たに戸建賃貸住宅の運営管理事業に参入した。戸建賃貸は子育てユーザー中心に潜在ニーズが大きいことから、分譲マンション事業で培ったコミュニティ形成支援で差別化した物件を提案する。相続対策などオーナーへのサービスメニューを充実させることで、賃貸マンション中心に約9,000戸をサブリースしている賃貸運営管理事業を伸長させる方針。
初弾となるのは、埼玉県新座市で開発中の「CUBE17(じゅうなな)」(総戸数17戸)。開発地は、JR武蔵野線「新座」駅徒歩12分に立地する約2,400平方メートルの元農地。オーナーが代表を務める(株)環境開発研究所が事業主、環境配慮型の建築設計を得意とする島崎義治建築設計事務所が設計を担当、コーポラティブ住宅などコミュニティを核にした住宅提案に特徴のある(株)コプラスがコミュニティ監修を手掛け、コスモスイニシアが完成後住戸を一括借り上げし、コミュニティ支援を含めた管理運営を行なっていく。
コミュニティを促す街区デザインとして、敷地内は無電柱化し、すべての境界壁を排除。住戸は、1邸ごとに向きをずらして配置。敷地内道路は、クルドサックを設け通り抜けとせず、地表はクローバーで覆い、シマトリネコを植栽することで、林の中に暮らしているような心地よさを表現している。
住戸は、土地面積117~163平方メートル。すべて在来工法・木造2階建ての同仕様で、3LDK(専有面積75平方メートル)。国産材を多用した戸建住宅を年間250棟余り建設している(株)藤島建設が施工を手掛ける。ヒノキの無垢フローリングやリビングの現し梁、外壁へのカラマツ下見板張りなど、木の風合いを前面に打ち出している。全戸無料駐車場2台分付き。
入居者には、隣地に設ける農園を提供。コスモスイニシアが、同農地を使った体験イベントなどコミュニティサポートを行なっていく。完成は来春。年明けより入居者募集を開始する予定で、賃料は月額13万~14万円台を想定している。
5日開催の報道陣向け見学会で挨拶した同社賃貸事業部事業推進部部長・塩見良二氏は、「この物件は、『囲いのないまち、公園の中にあるような風通しの良いまちを作りたい。それが結果的にセキュリティの高いまちともなる』というオーナーの思いに、設計者の島崎氏が共鳴した。当社も、コミュニティの重要性は、分譲マンションも賃貸戸建も変わらないと考えており、今後も賃貸住宅でのコミュニティ支援の取り組みを行なっていく」などと抱負を話った。