不動産ニュース / 調査・統計データ

2016/3/8

16年の首都圏マンション市場、好立地市場へのシフトますます強まる/トータルブレインが予測

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2015年のマンション市場を振り返りながら、16年の同市場を予測したレポートを発表した。

 同レポートでは、15年のマンション市場を(1)供給戸数は都下を除き減少。秋以降の売れ行き低迷で在庫も増加、(2)分譲価格・単価は、直近の3年間で20%以上上昇。ただし、郊外の上昇率は低迷、(3)売れ行きはエリア・立地による二極化がさらに進行。駅距離のウエイトがますます上昇、(4)マンション用地仕入れは、地主の言いなり。建築費は落ち着くも高止まり、(5)大手ディベロッパーの寡占化は進行。大手シェアはほぼ5割、などと分析。「都心の好立地マンションは旺盛な仮需ニーズにも支えられ好調をキープしたが、実需を中心とした近郊郊外マンション市場は販売が減速。急激な価格上昇が売れ行きにブレーキをかけたと判断され、15年はこれまで続いた右肩上がりのマンション価格・売れ行きに変化の兆しが現れ、市場価格がピークに近づいていることを感じさせる1年だった」とした。

 16年のマンション市場は、郊外を中心に着工減少が引き続き予想され、売れ行きが良ければ、供給戸数は前年並みの4万戸台、売れ行きが悪ければ4万戸を切る可能性もあると予測。引き続き、駅近立地が最大のテーマとなり、エリア選定においても沿線力・駅力をより重視する必要を示唆した。一方で、用地取得については潮目を迎えつつあるとして、フラットな目線での判断が重要とし、中古価格とのかい離を参考にした売値の判断や、スケールリスクを回避するための回転重視の小規模物件にメリットがあるとした。また、郊外での供給が激減し需給バランスが好転していることから、郊外でも駅徒歩5分圏内でのマンション供給は狙い目でもあると指摘しているが、「そこそこの運行本数があること」「生活利便施設が整っていること」「分譲単価で坪160万~180万円、グロスで3,000万円前半~中盤」「競合物件がない」「50戸までの小規模」を“外せない条件”とした。

 商品づくりについては、種地からの地上げや再開発、建て替えなど自ら汗をかいて用地の創出をする努力、小規模でも利益を出せる事業スキームの構築、常に複数のゼネコンとコミュニケーションをとることで安く請けてくれるゼネコンを粘り強く探す努力、事業資金の多チャンネル化などを提案した。

 一方、金融緩和による市場資金がふんだんなこと、史上最低の金利水準、相続対策、円安、アジア圏の活発な不動産投資などを背景に、今年も収益物件でどれだけ稼げるかがポイントとしながらも、「仮需マーケットはリスクも大きく、実需マーケットのような安定感もないことから、収益事業への売り上げの行き過ぎや片寄りを割け、軸足はあくまでも本業である実需向けの分譲事業に置くことが肝要」と結んでいる。

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