大東建託(株)は17日、明海大学不動産学部と共同で進めている「不動産賃貸物件の経年減価を考慮したポートフォリオ・マネジメントに関する研究」の中間報告を行なった。
同研究は2015年9月より行なっているもの。今回は「フェーズ1」として、「賃貸用共同住宅のリフォーム工事に対する賃料プレミアムに関する意識調査」結果を発表した。東京23区、横浜市、さいたま市、千葉市に住む20~50歳代の賃貸マンション・アパートの居住者を対象に実施。有効回答数は4,500件。
リフォーム工事の内容ごとに(1)実施されれば満足感を得るが実施されなくても不満にならない「魅力的評価」、(2)実施すれば満足度は上がるが実施されないと不満が溜まる「一元的評価」、(3)実施しても満足度は上がらないが実施されないと不満が溜まる「当たり前評価」に回答を分類した。
「魅力的評価」が高かったのは、「収納スペースの拡張工事」31.9%、「二重サッシ化」30.4%、「システムキッチンへの取り換え」26.5%となり、収納・騒音・水回りに関するリフォームが高い評価を得ていると分かった。一方、「屋根塗装」や「外観塗装」によるデザイン向上など、外観に関するリフォームについては、実施の有無にかかわらず満足も不満も起きない「無関心評価」の割合が高かった。
また、「魅力的評価」「一元的評価」を得たリフォーム工事に対して、どれだけの賃料増額を許容するかの質問に対し、男女世代別に過半が許容するとした金額を算出。男性20歳代・30歳代は1,500円、男性40歳代・50歳代は1,000円、女性の20歳代が500円、女性の30歳代、40歳代、50歳代は賃料アップを許容しないという結果になった。
さらに、「一元的評価」「当たり前評価」のリフォーム工事が実施されない場合にどれだけ賃料減額を求めるかを聞いたところ、男女全世代でマイナス5,000円という回答に。
同研究では今後、フェーズ2として建物の古さに対する賃借人の意識構造を把握するとともに、リフォーム工事に対する賃料プレミアムやディスカウントについて詳細に計測する。その後、フェーズ3として建築経過年数と家賃の関係を実証分析し、家賃の経年減価傾向を地域別にとらえる検証をしていく。