不動産ニュース

2016/11/11

首都圏マンション価格、中央値と平均値の差が拡大/不経研調査

 (株)不動産経済研究所は11日、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、および近畿圏2府4県(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)における、新築分譲マンションの戸当たり価格および専有面積の中央値を集計し、平均値と比較した結果を発表した。

 マンションの価格では、首都圏は2000年から05年まではほぼ安定的に平均値が4,000万円から4,100万円程度、中央値が3,700万円前後で推移。06年にミニバブル期の価格上昇が始まり、平均値、中央値ともに明確に上昇し始めるものの、中央値の方がその上昇は緩やかで差は拡大。ミニバブル期ピークの08年には平均値4,775万円、中央値4,240万円と、差が535万円にまで拡大した。
 その後はいったん価格上昇が収まり、300万~400万円台の差となっていたが、消費増税の駆け込みの影響を受けた13年には、平均値が4,929万円、中央値が4,348万円と、その差は581万円までに。以降、好調な都心部の高級マンションの供給などによって平均価格は跳ね上がる一方、中央値の上昇は緩やかになり、15年には差が720万円にまで拡大した。16年になると中央値の上昇が目立ち、平均値(5,663万円)との差は583万円に縮小している。

 近畿圏は、首都圏同様、05年までは平均値が3,200万円前後、中央値3,000万円前後で安定的に推移。06年には価格の上昇がはじまり、07年には平均値が3,478万円、中央値が3,193万円で、その差は285万円にまで拡大した。首都圏同様ミニバブル期のピークは08年で、平均値3,513万円、中央値3,270万円でその差243万円。09年以降は価格が下落。首都圏同様、13年以降に再上昇したが、平均値以上に中央値が上昇しており、その要因としては専有面積の平均値と中央値の差が拡大傾向にあることが考えられる。
 首都圏の専有面積は14年に中央値が平均値を上回りその差が拡大しているものの、16年でも0.97平方メートル。しかし近畿圏は06年以降は常に中央値が平均値を上回り、その差は13年1.85平方メートルから16年7.45平方メートルと拡大する一方。施工費の上昇とともに、大阪市を中心に狭小面積の物件のシェアが高まり、中央値以上に平均値がその影響を受けて縮小しているのが要因と考えられる。

 なお、近畿圏と同様に差が拡大しつつあるのが首都圏の中でも東京23区。14年には平均値が68.63平方メートル、中央値が70.30平方メートルでその差1.67平方メートルだったが、16年には平均値67.04平方メートル、中央値69.64平方メートルでその差2.60平方メートルとなっている。施工費の高騰に加えてまとまった用地の取得が難しくなったことによって、コンパクト住戸のシェアが拡大していることが要因。

 今後の価格動向は、首都圏、近畿圏ともに施工費上昇の影響は収まりつつあり、住戸価格の上昇は弱まって若干下落に転じる可能性も考えられる。一方、施工費が急落することもまた考えにくく、人気エリアの用地取得は競争が激しく難しい状況が続いていることから、しばらく高止まり傾向が続くと見られる。

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