不動産ニュース / 開発・分譲

2017/2/2

マンション用全館空調システムを改良。実証実験経て今秋から販売/三菱地所レジデンス他

実証実験中の室内。クローゼット前の床に空気の吹き出し口が見える。扉の前にあるのは、モノを置かれて吹き出し口を塞がれる心配がないため
実証実験中の室内。クローゼット前の床に空気の吹き出し口が見える。扉の前にあるのは、モノを置かれて吹き出し口を塞がれる心配がないため
実証実験住戸の吹き出し口は、戸建て用のものを流用している
実証実験住戸の吹き出し口は、戸建て用のものを流用している
エアロテック導入時には、暖房冷房効果を上げるためと結露を防ぐため、床下に断熱施工がされる。断熱施工を含め必要な二重床空間は今のところは230mmだが、より階高の低い物件への導入を容易にすべく、正規販売までにあと50mm引き下げる
エアロテック導入時には、暖房冷房効果を上げるためと結露を防ぐため、床下に断熱施工がされる。断熱施工を含め必要な二重床空間は今のところは230mmだが、より階高の低い物件への導入を容易にすべく、正規販売までにあと50mm引き下げる
室内ユニットも小型化。1
室内ユニットも小型化。1

 三菱地所レジデンス(株)とグループ会社のメックecoライフ、三菱地所ホーム(株)は、2006年以降新築分譲マンションの一部へ導入してきた全館空調システム「マンションエアロテック」を改良した「新マンションエアロテック」の基礎開発を終了。実際に施工した住戸での実証実験を経て、17年秋から販売を行なう。

 「マンションエアロテック」は、三菱地所ホームが1995年に開発した戸建住宅用全館空調「エアロテック」をマンション用にアレンジしたもの。室内ユニットで室内の空気を吸い込み、冷気・暖気をダクトを介して室内に送り、換気しながら室内すべての温度を一定に保つ。吸気ダクトから花粉や汚れた空気を吸い込まずきれいな室内環境を実現するほか、部屋ごとに設定温度を変えることもできる。これまで7棟の新築マンションと、ごくわずかだが既存マンションにも導入してきた。

 しかし、マンションでは天井裏にダクトを埋設するのが難しく、梁下にダクトをはわせる必要があるため、階高に余裕があるマンション以外への導入が難しいほか、工事コストも戸建て用より割高になる欠点があった。

 そこで「新マンションエアロテック」は、マンション二重床を断熱処理し、空調ダクトの代わりの空気の搬送経路として活用。ダクトルートの検証やダクト工事を削減し、大幅なコストダウンを実現する。

 16年7月、東京都文京区の自社マンションの1戸(専有面積83平方メートル、2LDK)をリノベーションすると同時に「新マンションエアロテック」を施工。無人のまま温熱環境等の計測を行なってきた。今年3月からは、三菱地所ホームの建て替え客やリフォーム客の仮住まいとして使い、8月まで人が住んだ状態で各種データや感想を収集する。

 住戸は8月以降、リノベーションマンションとして三菱地所レジデンスが販売。得られたデータをもとに改良を行なった「新マンションエアロテック」を、今秋から三菱地所レジデンスは分譲マンションおよびリノベーションマンションへ導入、三菱地所ホームはマンションリフォームの商材として販売していく。

 同システム開発を主導したメックecoライフ取締役の子安 誠氏は「実証住戸では、戸建用の部品を流用しているため、二重床の空間が230mm必要で、これを180mmまで低くすることで階高の低いマンションへ導入できるようにしたい。施工コストも、マンションエアロテックの戸当たり200万円から150万円程度にするのが目標」などと抱負を語った。

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