不動産ニュース / 調査・統計データ

2017/2/15

16年の事業用不動産投資額、前年比で20%減/CBRE調査

 シービーアールイー(株)(CBRE)は15日、2016年第4四半期の市場動向と、四半期ごとに実施している「不動産投資に関するアンケート」結果を発表した。調査期間は16年12月15日から17年1月13日で、対象はアレンジャーやレンダー、アセットマネージャーなど、有効回答数は142人。

 当期の事業用不動産投資額(10億円以上の取引)は物流施設やオフィスなどの比較的大型の取引が散見されたことで7,770億円(前年同期比15%増)となり、15年第3四半期以来6期ぶりに増加に転じた。
 一方通年の累計取引額は、投資家の投資意欲は高かったものの、都心を中心に売り物件が少なかったことで投資総額が減少。2兆9,360億円(前年比20%減)にとどまった。売り手・買い手の価格目線の乖離で成約に至らなかった案件も見られたという。なお累計投資額の49%は、JREITによる取得であった。

 地方都市での投資が引き続き活発化しており、地方都市(大阪・名古屋を除く)では6,170億円(同12%増)と、高い水準を記録。投資額全体に占める割合も、調査開始以来最大の22%に。大阪の投資額は2,530億円(同32%減)、名古屋は670億円(同2.3%増)。
 
 当四半期の期待利回りの平均値(NOIペース)については、東京では6アセット中3つで低下、3つが横ばい。期待利回りが最も低かったのはオフィス(大手町)の3.60%(同0.05ポイント低下)で、次に商業施設(銀座中央通り)の3.65%(同横ばい)。物流施設(マルチテナント)は4.75%(同0.03ポイント低下)、賃貸マンション(ワンルーム)の4.45%(0.03ポイント低下)で、東京では期待利回りがいずれのアセットタイプでも調査開始以来の最低値で推移している。
 地方都市の期待利回りも、札幌、仙台、大阪では対前期比で0.05~0.07ポイント低下、その他の都市は横ばいとなった。

 「不動産投資に関するアンケート」では、「不動産取引量」、「売買取引価格」、「NOI」(物流施設は「賃料」と「空室率」)、「期待利回り」、「金融機関の貸出態度」、「投融資取組スタンス」の6項目に関して調査。オフィス(Aクラスビル)では、「3ヵ月前と比べた最近(回答時点)」が3期連続で全項目悪化した。もっとも大きく悪化した項目は「金融機関の貸出態度」(同7ポイント低下)だった。一方で、物流施設(マルチテナント型)の「3ヵ月前と比べた最近(回答時点)」のDIは、「期待利回り」(同3ポイント上昇)、「投融資取り組みスタンス」(同1ポイント上昇)が改善した。

 同社では、投資家の投資意欲は高いままだが、18年意向は賃貸マーケットで予定される大量供給により、価格下落など売買市場の転換を懸念する投資家は少なくない、とコメントしている。

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