積水ハウス(株)は28日、2016年にプレハブ住宅として初めて国の有形文化財に登録された「臼井家及び山崎家別荘」(長野県北佐久郡軽井沢町)のプレス向け見学会を開いた。
同住宅は、水回り等を備えた初の本格的な国産プレハブ住宅商品と言われる「セキスイハウスA型」。1960年4月に前身の積水化学工業(株)ハウス事業部(同年8月に積水ハウス産業として分離独立)が発売したもので、計207棟販売した。構造躯体は現在の同社住宅にも使われている軽量鉄骨C形鋼を組み合わせたもので、外壁は「アルミサンドイッチパネル」と呼んでいた長方形のパネルを構造体に固定している。木製サッシが主流だった当時としてはめずらしく、スチールサッシを採用していた。
文化財に登録された「臼井家及び山崎家別荘」は63年、当時一般的ではなかったプレハブ住宅の販売促進を目的に、別荘として分譲され、積水ハウスの社員だった臼井克次氏と山﨑茂晴氏が共同購入したもの。ほぼ完全な状態で残っており、同社では「現存する唯一のセキスイハウスA型」としている。現在は、同社が両氏から取得し、保存・管理を手掛けている。
延床面積34平方メートルの建物はリビングと和室、水回り、外構のウッドデッキなどで構成。臼井氏によると、大きな構造的な改修はしていないが、これまでに外壁を2回塗り直し、ウッドデッキを2回入れ替えるなど、メンテナンスをしっかり行なっている。天井や窓の網戸は当時のまま。独立基礎の建物であり、通気が良かったことも保存のためにプラスに働いたとみられる。「現役時代は技術職の社員でしたから、床下防水シートを自分で貼ったりしていました。会社のためにも大切に使おうと思い、これまで過ごしてきた甲斐がありました」(臼井氏)。
同社取締役副社長の伊久哲夫氏はこの建物について「できるだけ多くの社員に見てもらい、当社のDNAを感じ取ってもらいたい。また、社会資産として多くの方に見てもらいたいという思いもある。今後、どう管理していくか、検討していきたい」と話した。