不動産ニュース / IT・情報サービス

2017/10/4

BIMデータ使ったマンション販売ツール開発

BIMデータを使いダイレクトでCG化することで
正確な三次元データを作成できる

 (株)長谷工コーポレーションは、同社が設計に活用しているBIM(Building Information Modeling)データを3次元CG化する「長谷工オリジナルBIMビューワー」を開発。同社が設計・施工する分譲マンションの販売現場への導入を提案していく。

 BIMは、コンピューターに建築にまつわる部品データ(約5,000点)をコンピューター上で組み上げ、3次元の建物モデルを作成し、部品情報・仕上げ情報、管理情報といった属性データを紐づけたデータベース。同社は、2012年から設計現場で導入を進めており、すでに67物件、施工物件の2割に導入済み。BIMにより設計品質の向上を図るだけでなく、そのデータを有効活用することで、マンション販売、リフォーム、管理、大規模修繕などのライフサイクルビジネスでの差別化を図っていく方針。今回のBIMビューワーも、その一環。

 同社は、これまでもBIMデータを使い、販売に用いる完成予想CGや住戸図面、3DイメージCGなどを作成していた。今回開発したBIMビューワーは、BIMで設計した住戸全タイプを短時間、安価に3次元CG化するアプリケーション。作成した住戸データは、パソコン上だけでなくVR機器を使ったバーチャル体験やスマートフォンを使った360度画像としても活用できる。セレクトプランやカラーセレクトなどを瞬時に反映するほか、バルコニーからの眺望やキッチン高なども、実際の住戸と同一の仕様で確認でき、家具等を配置した「バーチャルモデルルーム」として仕上げることもできる。

 また、同システムに加え、実大構造模型やパンフレットで説明を行なっている建物性能をCG画面で説明する「ビジュアルクオリティガイド」も作成した。

 BIMビューワーは、グループ会社の(株)長谷工システムズが提案。長谷工グループの総合地所(株)が今秋から販売開始する「ルネ八王子トレーシア」(東京都八王子市、総戸数86戸)への導入を皮切りに、同社が設計施工するマンションの販売会社に提案していく。大型モニター、VR機器、アプリケーションをセットにして販売。販売スタッフへの導入研修も行なう。VR内覧を活用することで、モデルルームの小面積化とコストダウンが期待できるほか、実大モデルルームを補完する販促ツールとしてもアピールしていく。

 4日に会見した長谷工コーポレーション設計部門エンジニアリング事業部統括室長の堀井規男氏は「当社はマンション特化と95%という設計施工比率の高さを生かしBIM導入を進めてきた。販売現場では、14年からBIMデータを活用しているが、この数年でブラッシュアップが進み、クオリティも上がっている。VRツールは他社でも導入が進んでいるが、設計データからダイレクトに作成することで、より正確に、より早く、より安く作成できるというメリットをいかし差別化していく。BIMのリソースを使って販売や管理、大規模修繕にもつなげていきたい」などと抱負を語った。

作成したデータはVR機器を使ってウォークスルー体験ができるほか、
パソコンや大型モニター、スマートフォンなどでの確認にも対応する

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