
(株)長谷工コーポレーションは、グループ各事業でのICT活用を強化する。設計施工の効率化だけでなく、そのデータをマンション販売や管理など様々な場面でも活用するBIM(Building Information Modeling)に加え、居住中のマンションにさまざまなセンサーを組み込み、そこから得られる情報を事業の効率化や次世代商品にフィードバックする「LIM(Living Information Modeling)」を加えた新たな情報プラットフォームを構築。LIM導入に向けた「ICTマンション」を、今年中に施工する物件で企画していく。
同社は、2012年から設計現場へのBIM導入を開始。すでに、6割の物件でBIMを用いて設計しており、作業工数などを設計段階で3割、施工段階で2割効率化。年度内には、すべての設計物件への導入が完了する予定。また、そのデータは、販売現場でのVRモデルやホームページでも活用している。
LIMは、マンション内に、温湿度や気圧等を計測する環境センサー、地震センサー、居住者の住戸内での動きをモニターするセンサー等を設置し、常時モニタリング。そこから得られるデータをBIMにフィードバックし、マンションの設計・施工だけでなく、セキュリティや見守り、防災、メンテナンスなど、居住者の快適性や安心・安全といった「暮らしやすさ」向上に生かしていく。システム開発では、先端企業や研究機関と協業。自社開発にこだわらず既存のシステム等を活用しながら進め、そこで得られたデータをオープンにし、同業他社との業界標準とする「オープンイノベーション」の考えで進める。
すでに、一部の自社物件に地震センサーと環境センサーを設置しモニタリングをしており、今年度施工する物件への組み込みを目指す。
1日会見した同社専務執行役員の池上一夫氏は「ハードの情報であるBIMとお客さまの暮らしの中のソフト情報であるLIMをクラウド上に蓄積し、建築生産現場の効率化と暮らしの付加価値向上に活用していく。パートナー企業とオープンな形で開発を進め、高品質の住まいづくりと、安全快適な生活を提供していきたい」などと抱負を語った。