不動産ニュース / 政策・制度

2019/4/1

居住誘導区域への人口誘導策を検討

委員会の様子

 国土交通省は29日、11回目となる「都市計画基本問題小委員会」を開催した。

 同委員会では、コンパクトシティ実現に向け2014年からスタートした「立地適正化計画制度」の実効性アップに向けた方策について議論。同制度は、市街地を、居住を誘導し人口密度を維持する「居住誘導区域」と生活サービスを誘導する「都市機能誘導区域」に定め、市街地を集約し、コンパクトなまちづくりを促進するもの。今回は、「居住誘導区域に人口を集中させるためのインセンティブ措置等」と、「非集約エリア(市街化区域内の居住誘導区域外)の将来像と実現のための方策」について、事務局が提案し、委員会メンバーが意見を述べた。

 事務局は、居住誘導区域に人口を集中させるためのインセンティブ措置に関して、居住環境を向上し魅力ある地域づくりをすることが必要とした上で、「住宅地内における生活支援施設等の容積率緩和・用途制限の緩和など、生活利便を高めること」と、「居住集約区域内の住宅を購入する場合、『フラット35』を活用した居住誘導の推進や自治体の住宅取得費用に係る補助」などを提案。
 一方、委員からは、「現時点でも病院は余っている状況であるのに、容積率・用途制限の緩和により建てやすくなれば一層増加し、供給過大になる」といった理由から、「土地の使い方の自由度を上げることは長期的にみるとまちづくりの質を落とす原因になりかねない」という意見が多く挙がった。また、「居住誘導区域の防災性を高めるなどのインセンティブも考えられる」との意見も出された。

 「非集約エリアの将来像と実現のための方策」に関しては、人口密度が減少する中で、ゆとりある都市空間をどう形成、活用するかが重要とし、「多様化するライフスタイルの受け皿として活用する」などを提案。また非集約エリアと人口密度の維持を目的とする居住誘導区域との将来像や方策の違いをどう考えるかといった課題が提示された。
 委員からは、「居住集約地域のサブ的な立ち位置ではなく、全く別の論理で活用方法を検討していくべき」、「住民主体で空間を活用・保全してもらう旨の提案が多いが、非集約エリアの中には、高齢化の進む地域も多く、難しいのではないか」等の意見が挙がった。

記事のキーワード 一覧

この記事の用語

立地適正化計画

都市再生を図るために、都市機能の立地を誘導するべく作成されるマスタープラン。「都市再生特別措置法」に基づき、市町村が作成する。

続きはR.E.wordsへ

動画でチラ見!

第18回 ジバコー 「原点」を語る

ニュースはこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年5月号
「事故物件」、流通の課題は?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/4/21

「記者の目」を更新しました

有事に立ち向かうエリアマネジメント」を公開しました。

エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。