不動産ニュース / 仲介・管理

2019/4/23

東京メトロ、スペースM他と協業で沿線活性化

「むすべやメトロ綾瀬」外観。入口は東京メトロの「ホームドア」をイメージした

 東京地下鉄(株)(東京メトロ)は22日、(株)スペースマーケット、(株)ハウスプラザとの協業によるレンタルスペース「むすべやメトロ綾瀬」(東京都足立区)を報道陣に公開した。

 東京メトロとスペースマーケットは今年4月、東京メトロ沿線でのシェアリングビジネスを核としたにぎわい創出を目的とした資本業務提携を締結。今回の施設は、同施策に基づいた第1弾となる。一方、ハウスプラザは、東京メトロ千代田線「綾瀬」駅前に本社を構える総合不動産会社。2018年8月から、スペースマーケットと協業し、錦糸町の自社ビルの一部をレンタルスペースとして運営、これまで3施設を開業・運営している。綾瀬駅周辺の千代田線高架下商店街の空洞化が進んでいたため地元企業として活性化策を練っていたところ、東京メトロとスペースマーケットの協業の話を聞きつけ、スペースマーケットを介して東京メトロに企画を持ち込んだ。

 「むすべやメトロ綾瀬」は、綾瀬駅徒歩2分、東京メトロが保有し、1年半にわたり借り手のなかった高架下店舗(44平方メートル)をコンバージョンしたもの。内部は、東京メトロの車両内部をコンセプトにデザイン。実際に使われていた車両のつり革、網棚、優先席などでデコレーション。大型テレビ、キッチンカウンター、可動式テーブルなどを設置し、パーティ、セミナー、会議、ポップアップショップなど幅広い使途に対応。地元活性化のため、地元商店街店舗からのケータリングサービスも行なう。現地の運営・管理はハウスプラザが担当。予約はスペースマーケットのプラットフォームを使う。利用料金は、1時間1,580円から。4月11日にオープン済みで、すでに5組が利用した。

 東京メトロは、綾瀬~北千住間の千代田線高架下以外に、東西線「西葛西」駅~「西船橋」駅間でも高架下に遊休スペースを保有している。いずれも、近隣に住宅地を抱えていることから、スペースマーケットとの協業によりシェアリングスペースとして活用できるものは転用し、施設周辺地域のコミュニティ活性化に寄与していく方針。同日会見した東京地下鉄経営企画本部企業価値創造部課長の池沢 聡氏は「3月発表の中計では、沿線にぎわいとつながりの創出に係る取り組みを特に重視している。当社が路線を有する東京は人口も世帯数も増え続けているが、今のままいくとは思っていない。今後も東京に活力を持たせていくためにも必要な取り組み。スペースマーケットさんとの提携はあっという間に決まり、当施設も2ヵ月で完成した。地域住民の方々に自由に使っていただきたい」と語った。
 スペースマーケット代表取締役の重松大輔氏は「どの鉄道会社も、沿線の付加価値創造に向けたトライ&エラーを繰り返している。特に多いのが保育園や高齢者住宅だが、いずれも許認可等で開業まで時間がかかり、コストも高い。レンタルスペースはスペースさえあれば数ヵ月で開業でき、コストもかからない。東京メトロ沿線は人口も乗降客も多く、間違いなく高稼働が期待できる。他の駅圏でもチャレンジしたい」とした。

 また、ハウスプラザも、既存企業とのシナジー効果もある新たなビジネスチャンスとして、レンタルスペース事業に注力していく方針。同社経営戦略室室長の村上靖知氏は「レンタルスペース事業は不動産の流動性を高めるほか、ユーザーの日常領域に深く入っていくことで、当社の新たな顧客接点としても期待できる。綾瀬駅の高架下は空きテナントが目立ち、地元企業として“このままいくと、まちが腐るのでは”と危惧していた。この施設を機に、JRや他の鉄道会社も巻き込んで、他の沿線でもレンタルスペース運営にチャレンジしたい」と抱負を語った。

実際の車両で使われていたつり革、網棚、シートが飾られたレンタルスペース内部。アクセントカラーのグリーンは千代田線のイメージカラー、壁に書かれた「C19」は「綾瀬」駅の駅ナンバリング
カウンターキッチン、大型テレビ、稼働テーブル、Wi-Fiなどを用意。平日昼はビジネスユース、夜間や休日はパーティ、イベントでの稼働を見込んでいる

この記事の用語

シェアリングエコノミー

空き状態にあるモノや技能の個人間の貸し借りを、情報通信システムを活用して仲介するサービス。英語でSharing economy。

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