不動産ニュース / イベント・セミナー

2019/11/8

100年経過した都市計画法の課題を検討

 (公社)日本不動産学会は7日、シンポジウム「都市計画と不動産市場の対立と調和を探る ~都市計画法法制100年を記念して~」をすまい・るホール(東京都文京区)で開催した。

 都市計画制度は、国や自治体が設ける規制であり、市場動向に即したものではない。しかしその性質上、経済発展や都市への人口・機能の集積、少子高齢化の進展、環境への配慮といった現代の市場動向との調和が求められる。こうした認識をもとに、同シンポジウムでは、日本の将来動向予測、大都市、地方など地域ごとの課題を踏まえ、都市計画と不動産市場の関係性を検討した。

 横浜市都市計画課長の大友直樹氏は、「自治体都市計画行政の意義と限界」をテーマに、同市での都市計画行政の実態を報告。都市計画法に上乗せして独自の制限を設け開発をコントロールしていたが、人口減少やインフラの老朽化、財政のひっ迫等新たな都市問題が顕在化し、コントロールに限界が生じてきたと解説。現在は、地域課題解決に向け事業者や大学等との連携を強化するなど、民間との協力体制を強める方針を進めているとした。

 森ビル(株)常務執行役員の河野 雄一郎氏は、同社が手掛けた「六本木ヒルズ」の開発を振り返り、都市計画と事業者の相互関係について解説。「港区の都市計画の意向を汲んで開発を進めたが、同計画は行政のみの力では遂行できなかったはず。ならば、もう少し事業主体が融通を効かせられるようにしてほしいと思うこ ともあった。ただ、道路整備など民間だけでは成しえないプログラムを開発に盛り込めた点は事業者としても大きなメリットだった」などと話した。

 政策研究大学院大学特別教授の福井秀夫氏は、都市計画の機能と限界をテーマに講演。「100年経過した都市計画法や、それに則った規制に基づく開発では、土地利用の効率化を図ることは難しい」と、都市計画による開発規制が陳腐化している点を指摘した。

記事のキーワード 一覧

この記事の用語

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。

続きはR.E.wordsへ

動画でチラ見!

座談会「事故物件に立ち向かう」

掲載誌はこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年5月号
「事故物件」、流通の課題は?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/4/21

「記者の目」を更新しました

有事に立ち向かうエリアマネジメント」を公開しました。

エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。