不動産ニュース / ハウジング

2020/2/28

宮城・閖上の神社を地域の防災拠点に/創建

今年再建を手掛ける閖上湊神社の伊藤英司宮司(写真右)と握手を交わす創建の吉村孝文会長(写真左)

 (株)創建は27日、「災害被災神社再建・地域振興プロジェクト」の第3弾として、「閖上湊神社」(宮城県名取市)の再建に着手すると発表した。同時に、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会や災害対策の各種技術を開発する企業等と「『神社を防災拠点に』コンソーシアム」を結成。同神社をモデルケースとする。

 同プロジェクトは、創建、創建のグループ会社である(株)木の城たいせつ、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会が2018年から合同で推進してきたもの。災害で被害を負った神社を無償で再建・寄贈する。建物建設は、独自のプレカット技術と建設システムにより伝統工法をローコスト・短工期で実現している木の城たいせつが担当。これまでに「白山姫神社」(熊本県阿蘇郡)と「諏訪神社」(福島県浪江町)を再建してきた。

 閖上湊神社は、2011年の東日本大震災による津波で被災。社殿や境内が被害を受け、その後社殿の建立ができず、仮設社殿のままの状態が続いていた。今回のプロジェクトでは、社殿を構成する「向拝」「拝殿」「幣殿」「神殿」「浜縁」を建築。建築面積は約53平方メートル。20年10月の完成、11月の引き渡しを予定している。

 また同神社には、コンソーシアム参画企業が、空気から1日200リットルの水を作る製水器、落雷そのものを防ぐ避雷針、蓄電池、太陽光発電パネル、津波シェルターなどを設置。停電・断水時に周辺住民を守る防災拠点とする。

 記者発表会で挨拶した創建代表取締役会長の吉村孝文氏は「毎年1棟ずつ被災した神社を再建・寄贈することにこのうえない喜びを感じており、社員もやりがいを感じている。神社を災害を忘れない場所とするだけでなく、災害から地域の人たちを救う場所にしていきたい。今後もさまざまなテクノロジーを持つ会社の新技術を取り入れ、安心安全なまちと住まいを提供していきたい」と抱負を語った。

 また同社は、さまざまな防災設備を組み込んだ伝統工法の家「INOCHI」を3月にも発売する。創建代表取締役社長兼木の城たいせつ代表取締役社長の吉村直巳氏は「木組みによる伝統工法は金物工法の1.5倍の強度があり地震に強い。これに、製水器や蓄電池、ソーラーパネル、津波シェルターなどレジリエンスシステムを組み込み、二次災害からも住人を守れるようにする」などと語った。

被災前の閖上湊神社
津波で被災した閖上湊神社
再建予想図

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