(公財)日本賃貸住宅管理協会は28日、IT・シェアリング推進事業者協議会の第1回定例会をオンラインで開催。約170人が参加し情報共有した。
冒頭、同協議会会長の榎 和志氏は「新型コロナウイルス感染拡大により、テレワークや在宅が増え、今後ますますIT・シェアリングの仕組みを使用する機会が増えていく。そこで、コロナ対策ワーキンググループ(仮称)の立ち上げを準備している。初めてのWeb定例会となるが、ツールや知見を集め、会員同士で共有していきたい」と挨拶した。
定例会では3つのセミナーを実施。(株)リクルート住まいカンパニー不動産・住宅情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一氏は「SUUMOのログデータや消費者調査に基づく コロナ禍で変貌する求められる住まい、まちの変化」をテーマに、コロナによる消費者ニーズの変化等を紹介した。同社の調査では、テレワーク実施率は2019年11月の調査(17%)から47%に増加していた。テレワークの不満については「オンオフの切り替えがしづらい」「スペース不足」が上位を占め、5割超がリビングダイニングでテレワークを実施していたことが分かった。
無償でテレワークスペースに変更可能なメニュープラン「ワークインクロゼット」や、防音室の技術を採用したクローズド空間「快適ワークプレイス」といった提案を行なっている事業者が出てきているとし、「今後は『ワークスペース付きの賃貸アパート』『コワーキング併設の賃貸住宅』などの提案も有効となるのではないか」と予測した。
「コロナで変えたIT活用方法とあえて変えなかったコト ~リアルな声を聞く特別インタビュー~」では、(株)シンカ代表取締役社長の江尻高宏氏が、(株)湘南らいふ管理取締役の廣瀬一寛氏にインタビュー形式で質問した。15年から積極的にITを業務に取り入れてきた廣瀬氏は、「人でなくてもできる業務はできるだけIT化し、人でないとできない業務に力を注ぐべき」と、ITとマニュアル対応を区別する必要性を挙げた。廣瀬氏の回答を踏まえ、江尻氏は「業界のデジタルシフトは必至。人と会う回数は減っても“ITを活用した会話”を重視し、絆を深めていくことが大切。IT化に踏み出すのは難しいが、まずは動いてみることが必要では」とまとめた。
また、ハウスコム(株)サービス・イノベーション室室長の安達文昭氏は、「オンラインの取り組み実績から学んだカスタマーファースト」をテーマに講演。オンライン接客(内見)は「手間と時間がかかるし、環境により通信が途切れるなどの煩わしさもある」としながらも、メリットは少なくないと言及。「動機付けにつながるため集客ツールとしても活用できる」「成約確度が高いという手応えがある」「ユーザーは来店までの移動コストを削減できる」などのメリットを挙げた。