不動産ニュース / 開発・分譲

2021/6/25

渋谷・松濤に隈 研吾氏デザインの公共トイレ

「鍋島松濤公園トイレ」全景
会見に臨む笹川常務理事(左)と隈研吾氏(右)

 (公財)日本財団は24日、「鍋島松濤公園」トイレ(東京都渋谷区)を報道陣に公開した。

 同財団が渋谷区の協力を受け進めている「THE TOKYO TOILET」の一つ。同プロジェクトは、誰もが快適に利用できる公共トイレの整備を目的に2020年に開始したもの。世界で活躍するデザイナーや建築家16人が参画し、公共トイレから日本文化を発信する。これまで同区内で8つの公共トイレを整備。22年3月までに区内17ヵ所に整備する。トイレは同財団が建設し、同区に寄付。完成後も同財団がトイレを維持管理し、国内外の人に「公共トイレがきれいな日本」という国民性をアピールする。

 「鍋島松濤公園トイレ」は、建築家の隈研吾氏がデザイン。施工は大和ハウス工業(株)。公園の自然の起伏をいかし、小さな丘のように高低差を設け5つのトイレを設置した。トイレは、親子連れ、シニアなどさまざまな利用者を想定。すべてのトイレを個室としている。個室面積は1.8~6.1平方メートル。トイレ周囲は、公園の緑と調和するよう、吉野杉のルーバーを微妙に大きさ・角度を変えて取り付けた。また、トイレ内部には相模原津久井産材の廃材を再利用したオブジェを飾っている。トイレにアプローチする通路にも、木材のチップを敷き詰めた。

 同日、現地で会見した日本財団常務理事の笹川順平氏は「世界を代表するクリエイターの協力を得て日本の公衆トイレを変える、また日本文化を知っていただくための観光資源を目指して取り組んできたプロジェクトも、このトイレで9ヵ所目となる。このプロジェクトは、建築するまでが半分。適切に維持管理をして、きれいに使っていただくことが半分。公共トイレの『汚い』『臭い』『暗い』『怖い』というイメージを撲滅するため、全国へ活動を広めたい」などと語った。

 一方、デザインを担当した隈 研吾氏は「日本財団さんからお話をいただいた時、ぜひここ(鍋島松濤公園)でやりたいとお返事した。公園の緑に溶け込むトイレを目指した。トイレの間は山の小路のような通路としており、散策を楽しんでもらえる。これまでの公共トイレは画一的デザインだったが、多様性の時代に対応して、渋谷にイベントで来た人の着替えや、子供連れ、お年よりなど様々な人が利用できるようにした。このトイレを通じて、日本の木の文化を世界に発信できれば」などと抱負を述べた。

 同プロジェクトは、7月中にさらに区内3ヵ所のトイレ供用を予定している。

バリアフリートイレはグラウンドレベルに設置。壁面には相模原津久井産材の廃材をオブジェとして飾っている
専用の便器を設置した子供用トイレ

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