大和ハウス工業(株)は15日、2021年度上期(4~9月)における、全国の戸建分譲住宅・分譲マンションの販売状況などについて説明した。
戸建分譲住宅は、 全国的に契約率がコロナ禍前の水準に戻ってきたものの、 厳しい用地取得環境などを背景に販売数は減少、 前年同期に比べて微減となった。首都圏および他エリアの都市部(東京近郊を含む)での需要は堅調ながらも、北関東等の郊外エリアにおいてはパワービルダーとの価格競争で厳しい状況が続いているとした。
こうした状況を踏まえ、今後は都市部に経営資源を集中投下。 仕入れ・販売体制を強化する。同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部⾧・本間生志氏は「多少高値でも積極的に用地を取得する方針。また、ZEHの供給増によって他社との差別化を図る」と述べた。
分譲マンションは、首都圏においては都心部・ 郊外共に実需層のニーズが安定している。 特に都市部で将来的な資産価値維持・ 向上が期待できる物件に対しては、高収入層の実需購入や、 富裕層の現物資産取得などが市場をけん引している。 販売価格についても高水準を維持しており、 需給バランスも均衡していることから価格下落傾向はみられないと した。
近畿圏においても、首都圏と同様に都心部における販売進捗はコロナ禍においても安定しており、より利便性と資産性を求める傾向が高まっている。一方、郊外については購入に慎重なユーザーが多いという。地方圏の状況については、駅直結や商業、病院などを併設した再開発や複合開発によるコンパクトシティへの期待や関心が高く、販売も進捗しているとした。
なお、コロナ禍でのテレワーク増等による東京近郊立地物件へのニーズの変化については、戸建分譲住宅は、「今のところ大きな変化はないが、テレワークの定着に伴い今後はやや拡大するのではないかと見ている」(本間氏)とした。マンションでは、「生活環境を見直し、これまで都心で買っていた層が郊外で購入するケースは出ている。ただ、どのエリアも好調という訳ではなく、JR沿線などで都心へのアクセスが良く、大規模で共用部や間取りが充実しているなどバランスの良い物件が人気」(同社マンション事業本部事業統括部部⾧・角田卓也氏)だという。