不動産ニュース / 開発・分譲

2022/7/27

秩父に分散型宿泊施設「NIPPONIA」、8月5日開業

登録有形文化財である旧小池煙草店と隣接する旧宮谷履物店の外壁をつなげて1棟に見立てたKOIKE・MIYATANI棟

 (株)西武リアルティソリューションズ(西武RS)、(一社)秩父地域おもてなし観光公社、(株)NOTE、三井住友ファイナンス&リース(株)(SMFL)が共同出資する(株)秩父まちづくりは26日、8月5日に開業する分散型宿泊施設「NIPPONIA 秩父 門前町(ニッポニアちちぶもんぜんまち)」(埼玉県秩父市、全8室)を報道陣に公開した。

 秩父まちづくりは、秩父市と連携して、秩父エリアの歴史的建造物や古民家の再生・活用を通じた地域活性化を推進。西武RSが事業全体の支援や西武グループとの連携および情報発信を、観光公社が施設運営や地域との調整を担う。全国で歴史的・文化的資源を活用した分散型宿泊施設(NIPPONIA)開発事業を展開するNOTEが古民家を核としたエリア計画策定・開発支援を行ない、SMFLがファイナンスのアレンジメントを担当している。

 「NIPPONIA 秩父 門前町」は、いずれも地域に根付いた商店だった古民家3棟を、秩父まちづくりが15年間借り上げ、改修した上で(株)NKBに運営を委託。MARUJU棟、KOIKE・MIYATANI棟で構成し、MARUJU棟は西武線「西武秩父」駅徒歩約15分に立地。明治元年築の旧マル十薬局(延床面積390平方メートル)を改修し、フロント機能を持たせ、母屋と蔵、離れも活用することで趣のことなる5室の客室を設けた。秩父産の食材を用いる創作フレンチレストランも併設する。

 KOIKE・MIYATANI棟は、同駅徒歩約10分に立地。秩父市の登録有形文化財である昭和初期に建築された旧小池煙草店(延床面積112.91平方メートル)と隣接する旧宮谷履物店(同147.46平方メートル)の外壁をつなげて1棟に見立てた。客室は全3室で、うち2室はメゾネットタイプ。1階のもと煙草店だったスペースは昭和レトロな雰囲気を生かしたカフェとして活用する予定。

 客室は、2人定員が6室、4人定員が2室、面積は約37~60平方メートル。全客室に檜風呂を備え、ベッドはシモンズ製を採用。平均客室単価は1室2名素泊まりで3万~5万円、2食付きで5万~7万円程度となる見込み。秩父神社周辺のまち歩きガイド、秩父の伝統的な織物である秩父銘仙の着物着付け体験などのプログラムも提供していく予定。

 同社は、同事業を1期開発とし、今後も秩父周辺エリアも含めたにぎわい創出と持続的な地域活性化に向けた開発を推進。将来的には全10棟程度での展開を目標とする。

 同日開催された開業セレモニーで、(株)西武ホールディングス代表取締役社長の後藤高志氏は、「秩父地域は昔から、まちの中心である秩父神社や高くそびえる武甲山を中心に、信仰を集め観光産業が栄えてきた、おいしいお酒、ホテルや旅館、散策できる商店街もたくさんある。われわれグループは1969年の西武秩父線開業以降、多くの方々に秩父の魅力を発信してきた。今回、グループとして初めて古民家ホテル再生業に参入した。さまざまな行動変容、価値変容が起こっている現代に、新しいものだけでなく、昔の古き良き資産に注目し、さらにみがきをかけ、秩父のより一層の魅力向上に取り組んでいきたい」などと抱負を述べた。

 秩父まちづくり代表取締役(NOTE代表取締役社長)藤原岳史氏は「NIPPONIAは、宿泊者に、観光施設やインスタ映えスポットではなく、秩父の歴史や暮らし、文化など地域のありさまを見てもらいたい、そうした場となる施設と位置付けてつくっている。これで完成ではなく、1泊からリピーターにつなげ、秩父エリアに親しんでもらいながら、ゆくゆくは秩父に住んでいただけるような、そうした事業に育てていきたい」などと話した。

 西武RS代表取締役社長の齊藤朝秀氏は、「秩父から飯能の間には古くて魅力的な建物はまだまだある。まず1~2年、この施設で知見を得て、事業として一定の経済性が確保できるようにすることが先決だが、将来的には他のエリアにも広げていきたい」などとコメントした。

明治元年築の旧マル十薬局を改修したMARUJU棟。蔵、離れも活用し5室の客室を設けた
KOIKE・MIYATANI棟のメゾネットタイプの客室。従前の建物を極力生かして再生している

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