(株)東京カンテイは28日、全国の「シニア向け分譲マンション」の供給動向に関するレポートを発表した。
同社は「シニア向け分譲マンション」について、(1)建物が区分所有である、(2)敷地内にケア施設がある、または一棟全体が高齢者に配慮した設計である、(3)管理費とは別にケア関連サービスを受けるための費用条項がある、といった3項目を満たすものと定義。2023年に竣工予定の物件を含めると、全国で98物件1万4,947戸のシニア向け分譲マンションが供給されていることが分かった。
物件数が最も多いのは関西で36棟5,296戸、次いで関東31棟5,514戸、東海16棟2,612戸、北日本・甲信越8棟955棟、中国・九州7棟570戸。県別にみると、静岡県が15棟2,569戸で最も多く、次いで兵庫県の14棟2,502戸。関東地方は東京都が9棟1,039戸、千葉県は8棟1,927戸、神奈川県が8棟1,697戸だった。
「静岡県は、1971年に中銀マンシオン(株)が熱海市で高齢者向けのケア付き分譲マンションを供給し、これが全国で初めてのシニア向け分譲マンションだと言われる。兵庫県も有馬温泉近隣で多く供給されるなど、リゾート地で余生を過ごそうという高齢者をターゲットにしたマンションが供給されていた」(同社)。
供給エリアを竣工年別に集計すると、70年代は全国で9棟1,361戸供給されたうち6棟1,063戸が、80年代は全国10棟1,891戸のうち6棟1,067戸が東海での供給だった。90年代は全国6棟946戸と供給が下火になったものの、2000年代に入ると高齢化の進展と共に供給が活発化。00年代は全国24棟3,683戸が供給され、関西が15棟2,809戸で最も多かった。
10年代になると関東地方での供給も本格化し、全国32棟4,439戸のうち関東が14棟2,622戸、関西が13棟1,504戸となっている。20年以降も供給は活発で、23年までに全国17棟2,627戸の供給が決まっており、そのうち関東が9棟1,548戸、関西6棟799戸となっている。
同社では、「かつてのリゾート地での供給に対して、近年は都心立地や駅近立地が目立つ。メインターゲットとなる自立した高齢者の需要が、生活や交通の利便性重視に変化したことなどが要因。都心へのヒトモノカネの集中により、リゾート地ではサービス提供のための職員確保が難しくなったという事情もある」と分析する。