不動産ニュース / 開発・分譲

2022/8/30

三井H、足立区で木造5階建ての老人ホーム

特別養護老人ホーム「新田楽生苑」外観
1階の地域交流スペース

 三井ホーム(株)は30日、大規模木造建築物である特別養護老人ホーム「新田楽生苑(しんでんらくせいえん)」(東京都足立区、全170床)を報道陣に公開した。

 京浜東北線・南北線「王子」駅からバスで16分、最寄りのバス停から徒歩2分の立地。足立区が所有する中学校跡地で、同区が特別養護老人ホーム等の用地として公募した結果、同事業が選定された。事業主(運営主体)は、社会福祉法人新生福祉会(広島県尾道市)。同会は、木の床は転倒リスクが軽減されるなどのメリットに着目し、木造を選択したという。三井ホームは施工者として参画している。

 敷地面積4,696.59平方メートル、延床面積は7,826.76平方メートル、木造・一部鉄筋コンクリート造地上5階建て。特別養護老人ホーム150室のほか、短期入所生活介護施設(ショートステイ)20室、認知症対応型デイサービスセンター、居宅介護支援事務所、地域交流スペースなどで構成する。

 現行の建築基準法では、5階建ての建物をすべて木造で建築する場合、1階を2時間耐火構造にすることが求められることから、同施設では、1階を鉄筋コンクリート造、2~5階を木造枠組壁工法としている。床・壁等の構造躯体をパネル施工することで工期短縮・コスト削減を図った。2×6の耐力壁や高い強度を持つ金物の採用で耐震性能を高めた。木材使用量は2,176立方メートルで、同社施工の木造施設建築の中でも最大級の規模となる。国産材の使用率は約22%。同物件の炭素貯蔵量は1,774t-CO2と、35年生のスギ7,116本分に相当するという。

 また、同施設は、隅田川と荒川に囲まれ、ハザードマップにおいて浸水想定区域に指定されていることから、2階以上を居住スペースとして計画。1階の天井高を上げることで、浸水が居室に及ばないようにしている。地域の防災拠点としても機能させるために、5階に備蓄倉庫を設置した。

 そのほか、居室フロアは、中央に共同生活室を設けることで、入所者やスタッフの利便性を向上。1階の地域交流スペースは、新生福祉会の地元である「瀬戸田レモン」カラーの壁紙を採用し、明るさを出した。開業後はカフェとして運営される予定。

 引き渡しは8月31日、開業予定は11月。

ショートステイ用の居室(12.42平方メートル)
居室フロアの中央にある共同生活室

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介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム=特養)

要介護高齢者のための生活施設で、一定の基準(居室定員1人、床面積10.65平方メートル以上など)を満たすものをいう(介護保険法)。特別養護老人ホームともいう(老人福祉法)。

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