不動産ニュース / 決算・業績・機構改革

2022/12/9

三井不動産、新社長に植田 俊専務執行役員

社長交代会見後に握手を交わす菰田正信社長(右)と、植田 俊次期社長(左)

 三井不動産(株)は9日、代表取締役社長に現取締役専務執行役員の植田 俊(うえだ・たかし)氏が就任する人事を発表した。現社長の菰田正信氏は代表権を持つ会長に、現代表取締役会長の岩沙弘道氏は取締役に就任する。2023年4月1日付。なお、岩沙氏は23年6月の定時株主総会で取締役を退任し、同社相談役に就任する予定。

 植田氏は1961年2月16日生まれ(61歳)。83年、三井不動産入社。三井不動産ファイナンス(株)、三井不動産投資顧問(株)などを経て2011年同社執行役員ビルディング本部副本部長兼ビルディング事業企画部長、15年常務執行役員、16年ビルディング本部長、20年取締役などを経て21年4月より現任。取締役就任以降はビルディング本部や商業施設本部、開発企画部などのほか、日本橋や柏の葉、日比谷の街づくり推進部を管掌してきた。

 同日開いた記者会見で、次期社長となる植田氏は、「これまでの経験から、当社はまちづくりを通じて日本の産業競争力をより成長させ、発展させるためのプラットフォーマーであることを実感している。不動産やまちづくりは手段であって、当社の本質は、いわば産業ディベロッパーだ。これまでも日本のオフィス環境の向上を通じて企業活動をサポートし、さまざまな産業を支援してきたが、近年では日本橋でのライフサイエンスでの取り組みに注力し、プラットフォーマーとしての役割を果たしてきた。日本橋では今、スタートアップをはじめとして多くの企業、アカデミアが集まりエコシステムが構築され、新たなビジネスが生まれている。これからも、この日本橋の事例のように、供給だけではない産業ディベロッパーのプラットフォーマーとして、社会や企業、それを構成する人々の成長と発展に貢献できるようなまちづくりを行ない、日本の産業を強くしていく。当社にはそれができると信じでいる」などと抱負を述べた。

 また、まちづくりを進める上で同氏が大切にしてることとして、「妄想」「構想」「実現」を上げ、「一人の突拍子のない妄想、そこに大儀があれば仲間があつまり構想になり、実現につながってくる。これからも常に心掛けていきたい」などと話した。

 菰田氏は植田氏について、「私の右腕として中期経営計画『イノベーション2017』の達成や『ビジョン2025』の進捗に大きく貢献してきた立役者」と紹介。一番の業績としてライフサイエンスの一般社団法人を立ち上げた際のエピソードを披露し、ビル本部長時代のかなり高く設定した目標をクリアしてきたことなどを評価した。同氏の「実行力と粘り強さ、発想の豊かさ」に期待しているとし、「不動産の仕事はサイクルが長く、かなり先のことを見据えて行なわないといけない。そういう意味で継続性が重要になる一方、継続性だけでは時代が変化したときに時代遅れになる。私がやってきた経営の引き綴ぐべきものは引き継ぎ、変えるべきもは変えていく。植田専務の発想の豊かさ、既成概念にとらわれない自由な発想、それをぜひ生かして、新たな発想で、新しい三井不動産を切り開いていってもらいたい」などとエールを送った。

 また11年6月の就任以来の12年弱を振り返り、「まだリーマンのショックの傷が癒えていないときに東日本大震災という大規模災害が発生し、事業は非常に厳しい状態だった。そこで『イノベーション2017』を策定し、まちづくりプロジェクトの拡大、スマートシティの実現、グローバル化などの戦略にスピード感をもって取り組んできた。その結果、6年間で営業利益は約2倍。当期純利益は約3倍と大きな成長を遂げることができた。18年には『ビジョン2025』という長期ビジョンを打ち出し、持続可能な社会の実現、デジタル技術を活用した不動産業のイノベーション、グローバルカンパニーへの進化に取り組んできた」などと話した。

 一方、描いた戦略が軌道に乗り始めた矢先にコロナ禍となり、20年は1,000億円の減益となったが「3年が経過し、当社の業績に与える影響も収束してきており、コロナ後の世界をある程度見通せることができようになった。今年度はコロナの影響が残るものの過去最高の3,000億円の営業利益を達成する見込み。『ビジョン2025』の達成の道筋がみえてきたことから、その先は次世代のリーダーに託すのが望ましいと判断した」などと社長交代を決断した理由を述べた。

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