三井住友信託銀行(株)は23日、金融教育の受講経験が資産に与える影響に関するレポートを発表した。三井住友トラスト・資産のミライ研究所が実施した「第3回住まいと試算形成に関する意識と実態調査」(2022年)を調査・分析した。
金融教育受講経験の有無は、「あり」が27.2%、「なし」が72.8%で、4人に1人は金融教育を受けた経験があることがわかった。「あり」の回答を年齢別に見てみると、「20歳代」が40.6%であるのに対し「60歳代」は21.3%と、約2倍の差がついている。
年金受給金額をイメージできる人の比率を金融教育受講経験の有無別に分析した結果、「受講経験あり」では51.5%、「受講経験なし」では39.8%と1割強の差がついた。同じく、年金受給金額までイメージできる人の比率を金融教育を受けた時期別に分析したところ、「小学校入学前」67.7%、「小学生」47.1%、「中学生」43.3%、「高校生」46.3%、「大学生」44.7%、「社会人」59.4%となり、小学校入学前に金融教育を受けた人が最も割合が多かった。
受講経験の有無でNISAやiDeCoといった優遇制度の利用の有無の差を見たところ、受講経験ありでは46.0%が「利用あり」と回答しているが、受講経験なしではその割合が36.9%にとどまっている。
金融資産保有額2,000万円以上の人の比率を60歳代で見たところ、受講経験ありでは39.4%を占めたのに対し、受講経験なしでは29.4%と、約1割の差が出た。同社調査部の青木美香氏は、「年金受給を控えた年齢で金融資産保有額の1割の差は大きい」と説明した。
同社は、デフレ社会からインフレ社会への転換期にある日本では、実質の資産価値下落を防ぐ意味でも資産をつくること、資産をつなぎ引き継ぐことの重要性が増しており、その意味で金融教育の重要性がますます高まるだろう、指摘している。