積水化学工業(株)住宅カンパニーとリノベる(株)は27日、協業第1弾となるリノベーション物件の現場見学会を、報道陣向けに開催した。
両社は既存住宅流通の活性化と、住宅ストックの性能向上を目指し、2023年4月に資本業務提携を締結。積水化学は省エネ住宅のトップランナーであり、リノベるはリノベーション実績が5,500戸超とデザイン・提案力に強みを持つ。今回は、既存マンションの専有部でも対応可能な「ZEHリノベーション」を実施する。
東急田園都市線「鷺沼」駅徒歩9分に立地。1982年築。鉄筋コンクリート造5階建ての分譲マンション「グリーンシティ鷺沼A棟」(川崎市宮前区、総戸数32戸)の1室をリノベーションした。専有面積66.6平方メートル。3DKから2LDKに間取りを変更し、広々としたLDKを設ける。さらに、キッチンは対面型にして、ウォークインクローゼットや洗面所へつながる家事動線とする。
リノベるは、積水化学の独自の断熱壁パネル工法「マルリノ」を採用し、住戸全体をまるごと断熱化。同工法は、住戸のサイズに合わせてパネルを全面にはめ込み、湿気・熱を遮断し、壁体内結露やカビを抑制する。プレカット済みのパネル断熱材を使用するため、施工もしやすいのが特徴。これまで延べ300戸の実績を持つ。また、樹脂サッシとLow-E複層ガラスの内窓を設置するほか、高効率エアコン、省エネ高効率給湯器「エコジョーズ」、高断熱浴槽など約275万円(税抜き)の設備も導入。省エネ効果は、既存住宅の場合は光熱費が年間27万2,818円になるところ、「ZEHリノベーション」によって年間17万7,750円となり、年額9万5,068円、月額7,924円が削減できる。販売予定価格は5,180万円(税込み)。竣工・販売開始は23年9月の予定。
会見でリノベる上席執行役員の三浦隆博氏は「23年度の買取再販は自社で20戸、他社からの受注を20戸ほど展開する。企業の社宅など1棟リノベーションでもZEHを提案していく。まずは東京、神奈川を中心とした首都圏で展開していきたい」と話した。積水化学工業執行役員住宅カンパニーストック事業統括部長の宮下 健氏は「マルリノ工法のライセンスを共用することで拡販し、相乗効果を狙っていきたい。中長期的には既存住宅の性能をZEHレベルに引き上げて流通できるようなブランドを展開していきたい」などと述べた。