不動産ニュース / 開発・分譲

2023/9/5

三井不レジ、初のオール木造賃貸マンション完成

「パークアクシス北千束 MOCXION」外観

 三井不動産レジデンシャル(株)と三井ホーム(株)は5日、8月末に竣工した木造賃貸マンション「パークアクシス北千束 MOCXION」(東京都大田区、総戸数33戸)を報道陣に公開した。三井不動産レジデンシャルでは初となる、構造材が全て木材の賃貸マンション。グループのカーボンニュートラル施策推進に向け、木造賃貸マンションの事業可能性を探るテストケースとする。

 同物件は、東急大井町線「北千束」駅徒歩4分に立地。建設地は社宅跡地で、第1種中高層住居専用地域。建物は、地上4階建ての木造(枠組壁工法)。三井ホームの木造マンション「MOCXION」の技術を採用し、高強度耐力壁を用いることで耐震性を確保しつつスリム化し、有効床面積を増加。高性能遮音床システムの導入で、鉄筋コンクリート造同等の遮音性能を確保した。オリジナルの屋根断熱構造材により、最上階の天井高を快適性を保ちながら引き上げ、一部住戸にロフトも導入している。

 オール電化と非化石証書付きの再生可能エネルギーの一括受電で、入居中のCO2排出量実質ゼロを実現。屋上には太陽光パネルを設置し、オンサイトでエネルギーを創出し、共用部の電力および災害時の電源として使う。木造化により建設時のCO2排出量も約50%削減した。普及拡大段階の木造化技術を活用するプロジェクトとして2022年度国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されており、BELS評価の「ZEH-M Ready」を取得。三井不動産レジデンシャルの賃貸マンションとして初となる国際的環境認証「LEED認証」(GOLD)の予備認証も取得した。

 住戸は1DK~2LDK、専有面積は28.12~54.95平方メートル。DINKS層をメインターゲットとし、1DKを全体の8割とした。室内は、木造マンションのイメージに合わせナチュラルテイストのカラーリング。梁と柱が出ないすっきりとした空間が特長。天井高は2,400mm、二重床二重天井。4階に3戸設定したロフト付き住戸は最大天井高4,130mm、ロフト天井高は1,400mm、ロフト広さは4.8~10畳。エアコン、スマートロック付き。また、共用廊下は内廊下。

 賃料は、12万9,000~32万9,000円。8月10日から募集を開始し、現在3戸に申し込みが入っている。木造物件の価値を理解してもらえるユーザーに訴求しながら、1年間かけ満室とする方針で、グループのファンドへの組み入れも視野に入れている。

 同日会見した三井不動産レジデンシャル賃貸住宅事業部事業室室長の三留秀成氏は「自社初の木造賃貸マンションとして、環境負荷をどこまで下げられるかにチャレンジした。オール電化と再生可能エネルギーの組み合わせで、理論上のカーボンゼロを実現。自己満足ではなく、公的なお墨付きもいただいている。今後の木造マンションの可能性を探る試金石となる。マーケットにどう波及するか、そのインパクトを楽しみにしている」などと抱負を述べた。

1LDK住戸モデルルーム。鉄筋コンクリート造と異なり、梁や柱が目立たないすっきりとした室内
最上階には最大天井高4,100mmを超えるロフト付き住戸も設定

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