大和ハウス工業(株)と川崎市は14日、研究開発拠点「殿町プロジェクト」(川崎市川崎区)のまちびらきを行なった。
同プロジェクトは、最先端のライフサイエンス産業・研究機関が集積する国際戦略拠点のまちづくりが行なわれる「キングスカイフロント」の一角。「キングスカイフロント」は、いすゞ自動車川崎工場の跡地で、国家戦略特区・国際戦略総合特区・特定都市再生緊急整備地域に指定されているエリア。2014年に同社が土地を取得し、川崎市と共に羽田空港に近い立地を生かして、オープンイノベーション拠点として開発した。健康・医療・福祉・環境など約70機関が進出している。
「殿町プロジェクト」は、京浜急行電鉄「小島新田」駅徒歩12分、JR「川崎」駅より車で約22分に立地。敷地面積4万6,172.96平方メートル。研究施設「Research Gate Building」(RGB)4棟とホテルで構成する。RGBは、次世代の医療として大きな成長が期待される再生・細胞医療の研究をはじめ、最先端の医療技術、医療機器の研究開発等を行なうことができるバイオメディカルラボ。企業、研究機関の誘致とともに、にぎわい・交流機能を創出することをテーマに開発した。
一次開発では、東急ホテルズ&リゾーツ(株)が運営する「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」(鉄筋コンクリート造地上5階建て、客室数186室)と研究施設「RGBⅠ」(鉄骨造4階建て、竣工18年2月)、「RGB 2」(鉄骨造4階建て、ツインタワー、竣工17年6月)を開発。大手製薬会社や大学などが入居する。20年には、(株)島津製作所などが入居する「RGB 3」(鉄骨造4階建て、延床面積約2万2,116平方メートル)が竣工。23年11月7日に「RGB 4」(鉄骨造4階建て、延床面積約1万3,283平方メートル)が竣工し、「殿町プロジェクト」が完成した。4棟の研究施設には、現在14機関が入居。利用状況は、「RGB 1・2」は満床、「RGB 3」は8割程度、「RGB 4」は再生医療等の企業が検討中だという。
ホテルは、世界初となる使用済みプラスチック由来低炭素水素とバイオエネルギーを活用し、施設内で使用する電力のCO2排出量削減を実現。稼働率は8割だという。
また、地域に開かれた施設として、敷地の中心に「コミュニティパーク」を設置。南北に位置する2つの公園と「コミュニティパーク」をつなぐ「プロムナード」をつくるなど、回遊性を高めた。研究者や学生、地域住民などの交流ベントを開催するなど、にぎわいと交流を推進していく。
一方、「キングスカイフロント」の対岸には、羽田空港や大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」(11月16日開業予定)、エアポートホテルを核とした複合施設「羽田エアポートガーデン」なども所在。22年3月には、同エリアと羽田空港をつなぐ「多摩川スカイブリッジ」も完成。羽田空港に車で約5分でアクセスが可能となり、人・モノ・ビジネスの交流が活性化し、国際競争力の強化が期待されている。
セレモニーの挨拶で、大和ハウス工業代表取締役副社長の村田誉之氏は「今後はキングスカイフロントと、羽田イノベーションシティ、羽田エアポートガーデンとのより強い連携を図っていきたい。キングスカイフロントの発展を目指していく中で、殿町プロジェクトは重要な役割を担っている。今後も大和ハウスグループ一丸となって継続的な発展に取り組んでいく」などと述べた。