不動産ニュース / 開発・分譲

2024/6/25

タカラL、小田原駅前の建替マンションが完成

「レーベン小田原 THE TOWER」外観。マンションは4階以上部分
住戸は南東を小田原駅に接し、高層階からは相模湾や小田原城が望める

 (株)タカラレーベンは25日、参加組合員・事業協力者として開発・販売してきた分譲マンション「レーベン小田原 THE TOWER」(神奈川県小田原市、総戸数190戸)を報道陣に公開した。

 同物件は、JR東海道線他「小田原」駅徒歩1分に立地する、地上17階地下1階建ての分譲マンション。マンション建替円滑化法と小田原市の優良建築物等整備事業制度を同時活用し、1975年竣工の住商複合ビル「小田原駅前分譲共同ビル(通称:新幹線ビル)」を建て替えたもの。従前建物は地上15階地下1階建て、マンション89戸。同社は2018年5月に事業協力者に選ばれ、同年11月に建て替えが決議され19年7月に建替組合設立。21年7月着工していた。引き渡しは6月27日。同社は保留床の販売のほか、地元企業の万葉倶楽部(株) の権利床も販売した。

 敷地面積は約2,600平方メートル。建物は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上17階地下1階建て。小田原駅周辺では最高層となる高さ約54m。1~3階の商業施設は万葉倶楽部が保有。コンビニや飲食施設、クリニックモール、花屋などが入居する。住居は新幹線ホームとほぼ同レベルの4階から17階。南東の中高層階住戸は、小田原城や相模湾が望める。地下には時間貸し駐車場が入るほか、市営バイク置場を置き換える形で、バイク置場76台分用意、入居者以外にも開放する。

 住戸は1LDK~4LDK、専有面積約35~156平方メートル。内廊下、ワイドスパン設計。リビング天井高は2,500mm。小田原駅に面する(東側)住戸は二重窓。活水器・バブルバス、床暖房などが標準。17階はプレミアム住戸で、100平方メートル超が8戸。また、共用施設として集会室やブックラウンジ、ワークスペースを兼ねた集会室とゲストルームを備える。

 万葉倶楽部保有住戸など優先分譲72戸と非分譲住戸38戸を除く80戸が22年5月から販売され、7月末までに完売した。一般販売住戸の販売価格は、2,500万円台~1億7,000万円台。最多価格帯は4,200万円台・5,600万円台。坪単価は約260万円。購入者の4割が小田原市内在住、3割が同市を除く神奈川県在住、3割が都内在住。新幹線駅徒歩1分というロケーションの利便性と資産性などが、地元内外のユーザーに高く評価された。購入者は、DINKSとシニア層が中心。

 25日会見した建替組合理事長の髙橋眞己氏(万葉倶楽部取締役副社長)は「10年に耐震診断をしたところ耐震性に不安があることが分かり、管理組合で建て替えを検討してきた。当社は12年に商業部分と住宅12戸を取得したが、その頃は89戸中40戸しか人が住んでおらず、権利者同士の関係も悪く、組織だって建て替えを進められる状態ではなかった。まずは建て替えを推進するという決議を取り、地権者一人ひとりに説明を行ない、地権者から住戸を買い進めるなどして買換え決議を実現した。いち早く参画を表明くださったタカラレーベンさんにも感謝している。JR東海さんのご協力で、駅からエントランスまで庇もかかった。小田原駅西口のランドマークとなることを期待している」と述べた。

 また、タカラレーベン代表取締役社長執行役員の秋澤昭一氏は「高橋理事長の強いリーダーシップのおかげで無事建物が完成した。マンション建替円滑化法と優良建築物等整備事業制度を同時に使うとは聞こえがいいが、タイムスケジュールが一つでも狂うと補助金が出ず1年遅れとなるため、本当に大変だった。還元率は20%にとどまり、さらには住民の多くが高齢者のため、資金面や引っ越しの不安などを抱えていた。可能な限り不安を解消できるよう、説明会を数回繰り返し、現地に何度も足を運んだ。最終的に一枚岩で事業が進められたのは奇跡と言ってもいい」と振り返った。

 なお同社(ミラースHD)は、小田原駅東口側でも「小田原市栄町二丁目中央地区優良建築物等整備事業」を推進する。

 小売業の衰退や放置自転車、建物の老朽化など小田原市が抱える課題の解決ならびに持続可能なまちなか居住の促進を実現すべく、優良建築物等整備事業、総合設計制度を活用し、商業施設跡地を再開発する。敷地面積は約5,618平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上19階地下1階建て。低層階は商業施設、中高層階に住居286戸を設け、中心市街地の定住人口増加を促す計画。28年末竣工予定。

ライブラリーやワークスペース等を兼ねた集会室
握手を交わす建替組合の高橋理事長(左)とタカラレーベン秋澤社長(右)

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