
(一社)不動産テック協会(RET)は25日、アットビジネスセンター渋谷東口駅前(東京都渋谷区)にて「総会開催記念セミナー」を開催した。
国土交通省政策統括官付情報活用推進課課長の矢吹周平氏が「地理空間情報の活用に向けた取り組み」をテーマに基調講演。4月にオープンした「不動産情報ライブラリ」の狙いや活用状況等を中心に説明した。同ライブラリは、オープンデータ等を活用し、不動産取引の際に参考となる情報を重ね合わせて表示するWebGISシステム。周辺の公共施設や学校・医療機関等や、地価公示などの価格情報、人口推計などさまざまなオープンデータを掲載しているほか、API連携も可能にしている。開始時にはネットニュース等で取り上げられたこともあり、同省内外で話題になった。運用開始から2ヵ月半経過した時点で累計ページビューが676万回、API利用申請が1,854者と高い反響を得ている。
同氏は、概要を説明した後に利用イメージや企業の活用事例について説明。「子育て世代やシニア世代が住み替える場合に、住み替え先候補の情報を調べることができ、買い物の情報や学校・医療機関の近さといったことなどを把握できる。また、土地勘のないエリアや二地域居住を検討する場合でも、検討地域の人口推計などである程度その地域の将来像を予想することも可能だ」などと話した。
基調講演後、会場からの質問に同氏が応える形でのパネルディスカッションが行なわれた。宅建事業者やシステム会社に対して期待することを聞かれた同氏は「ユーザーが来店する前に不動産情報ライブラリである程度のことを下調べしてくることが想定されます。宅建事業者には、プロとして、地域の宅建事業者の強みを生かしてより深い提案を期待しています。システム会社の皆さんからも、このライブラリに対していろいろとご意見をいただきたい。さまざまな皆さんとコミュニケーションを取りながらライブラリを成長させていく」などと話した。