積水ハウス(株)は9日、KABUTO HALL(東京都中央区)にて「都市の多様性フォーラム2024」をオンライン併用で開催した。
同社は、社会に生物多様性を広げていくことを目的に同フォーラムを実施しており、今年で3回目。今回は「見える化で広がるネイチャー・ポジティブの実践と幸せな暮らし」をテーマに、生物多様性保全効果の定量評価による新たな取り組みや、生物多様性と住まい手のウェルビーイングの関係性についての最新研究等について発表する。
冒頭、同社代表取締役社長執行役員兼CEOの仲井嘉浩氏が挨拶。同社が01年より取り組んでいる地域の原種や在来種の植物を採用する住宅の植栽提案「5本の樹」計画の植樹累計が2,000万本を突破したことなどを報告した。これ以外にも生物多様性を最大化できるツールの開発や、生物多様性とウェルビーイングに関する研究を進めていることなどを紹介。「5本の樹を中心としたネイチャー・ポジティブの活動は、うつ病の発生率低下や環境配慮意識向上など目に見えない価値を生んでいる」などと話した。
また、来賓として環境省自然環境局生物多様性主流化室長の浜島直子氏が挨拶し、同省と民間企業が連携した取り組みなどについて紹介。その後、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の曽我昌史氏が「自然との『かかわり』が導く持続可能な社会」、琉球大学理学部教授で(株)シンク・ネイチャー代表取締役の久保田 康裕氏が「生物多様性の価値を見える化する意義について」をテーマにそれぞれ基調講演を行なった。
その後のパネルディスカッションでは久保田氏をコメンテーターに、積水ハウスESG経営推進本部環境推進部環境マネジメント室の八木隆史氏と、東急不動産ホールディングス(株)グループサスティナビリティ推進部部長の松本 恵氏、三菱地所レジデンス(株)商品企画部技術環境室グループマネージャーの井上直樹氏が、「都市における生物多様性保全の取り組みの先に見据える未来」について意見交換した。各社とも、開発物件や施工建物の植栽と生物多様性にフォーカスして取り組みを紹介。久保田氏は「これまでに行なってきたことの価値(費用対効果)を解像度高く見える化できていることが非常に大きい」などと感想を述べた。