通信販売大手の(株)千趣会(大阪市北区、代表取締役社長:梶原健司氏)は30日、住宅販売への参入を発表。同社のインテリアや雑貨等の通販ブランド「ベルメゾンデイズ」がプロデュースした注文住宅商品「ベルメゾンデイズハウス」を8月3日に発売すると発表した。
同社は、熊本県で先進技術を生かして住宅建築・販売を展開する(株)Lib Work(熊本県山鹿市、代表取締役社長:瀬口 力氏)と提携。創業以来約70年にわたって女性をターゲットにサービスを展開してきた千趣会が会員の声を収集し、それを生かした住宅のイメージを提案。Lib Workが具体的な商品企画に落とし込む形で商品開発を行なっていく。
住宅商品の「ベルメゾンデイズハウス」は自由設計で、コンセプトは「家族と共に前向きに成長していく家」。千葉市若葉区内、千葉都市モノレール「みつわ台」駅徒歩6分に建設したモデルハウスは、大きな開口や吹き抜けを設けて光や風を充分に室内に取り込む開放感のある空間設計を提案する。また、玄関脇の収納や間仕切りのないLDK、キッチン・浴室・収納を回遊できるスムーズな家事動線の設計、子供が家事を手伝いやすいカウンターキッチンの採用など、ファミリー世帯の家事・育児の負担を軽減する仕掛けを施した。
ベルメゾンデイズブランドで販売するインテリアに合わせて内装には無垢の木材を多用しているため、全体的に柔らかな印象を演出。また寝室の壁には調質性能の高い漆喰を使用しており、快適性も確保した。Lib Workの瀬口氏によると、省エネルギー対策等級6を標準として、要望に応じて等級7にも対応するなど、基本的な住宅性能も高くする。モデルハウスは木造2階建て、敷地面積40.8坪、延床面積28.19坪。参考価格は2,500万円で坪単価は100万円弱。「モデルハウスではこだわって高額の建材なども採用した。実売ベースでは坪80万円ぐらいにコストダウンできると見込んでいる」(瀬口氏)。当面はモデルハウスのある千葉県を中心に年間30棟ほどの販売を目指す。
販売については、千趣会が通販カタログやホームページ、SNSを通じて集客。実際の商談や設計、契約業務などの実務および施工はLib Workが担う。今回、住宅業界で初の試みとして、生成AIを活用したデジタルヒューマンによる接客システムの導入を計画。当初は基礎的な商品説明やモデルハウスの見学や来店の予約等、チャットボットのように活用していくが、早ければ年内にはユーザーとの会話等を通じて間取り提案や、住宅ローン提案なども行なえるようにしていく。
同日行なわれた記者会見で、厳しい状況が続く住宅市場への参入意図等を聞かれた梶原氏は、「『ベルメゾンデイズ』で製造・販売するインテリアを配置する『家』をつくることで、当社のブランディングにもつながる。当社には、創業70年間、女性のための商品を作ってきた。そのノウハウを生かすだけでなく、お客さまの直接の声を聞き取り商品企画に反映してブラッシュアップを重ねていきたい」などと話した。