旭化成不動産レジデンス(株)マンション建替え研究所は22日、高経年マンション再生問題に関するメディア懇談会「“2つの老い”マンション管理と再生はどうなる?」を開催した。
マンションストックが増加を続ける中、1990年代に大量供給されたマンションが高経年化しつつあるという状況に対して、マンションの高経年化と世帯主の高齢化という「2つの老い」に焦点を当てた。「マンションが老朽化して資産価値が低下し、耐震性不足の物件も出てくる。それに居住者の高齢化による管理の担い手不足や管理不全が発生という問題が相まって、負のスパイラルに陥ってしまう。現在の工事費の高騰や工期の長期化という問題は、高経年マンションの管理・再生の負担をさらに大きくしてしまい、負のスパイラルを加速させかねない」(マンション建替え研究所所長・重水丈人氏)。
そこで管理の担い手不足・管理不全の防止のために、「外部管理者方式」の活用に着目。特にマンション管理会社が管理者となる「管理業者管理方式」について理解を深めることが重要だとして、香川総合法律事務所の代表弁護士である香川希理氏を講師に招き、「外部管理者方式でどうなる?マンション管理の未来」と題した基調講演を行なった。
香川氏は、管理業者管理方式の課題を指摘しつつ、あるべき方向性について私見も交えながら講演。管理業者管理方式の最大の問題として、利益相反の問題を指摘。「管理会社が管理者として選定された場合、各種工事等に関して、発注者と受注者が同一になることが想定される。発注者としてはなるべく安く発注することが利益になるが、受注者はなるべく高く受注しなければ株主を裏切ることになる。つまり構造的に利益が相反する関係となる」と述べた。これに対しては、利益相反取引の防止規定を管理規約に設け、総会において重要な事実を説明した上で決議を得る旨を定めることが望ましいとした。このほかにも監事の選任や総会決議事項、総会招集権などについて、課題とその対応策を紹介した。
また、香川氏は「外部管理者管理方式を採用していたとしても、最終的に責任を負うのは区分所有者である」と指摘。「区分所有者は、専有部分以外の共用部や敷地を所有・共有していることの意識が著しく低い。管理業者管理者方式でこうした意識が一層低下することが懸念される」として、区分所有者の責務についても強く意識付けが必要だとした。