大和ハウス工業(株)は11日、記者説明会を開き、分譲マンション・戸建分譲事業等の概況を説明した。
分譲マンションに関しては、同社マンション事業本部事業統括部部長の角田卓也氏が、直近の販売状況や仕入れ動向について説明。全国的な地価上昇と建築費の高騰によって販売価格の上昇が継続しているとした上で、三大都市圏の各圏域の状況を紹介した。首都圏では、東京都心部の再開発物件などは富裕層やインバウンドの需要が活発で、販売も好調。一方、東京23区の実需向きエリアや郊外部においては、反響はあるものの価格上昇にユーザーが付いてこられていない状況も発生。「価格が上昇していることでユーザーの商品を見る目が厳しくなっており、特徴の打ち出せていない物件は販売が長期化している」(角田氏)。
また、近畿圏についても富裕層やインバウンドの需要が活発な状況だという。地方圏、特に北海道や沖縄においては、本州の富裕層やシニア層のセカンドハウス需要や投資、移住ニーズなどがみられる。
用地の仕入れについては全国的に価格上昇が顕著だという。首都圏ではマンション適地の品薄感や、それに伴う競合の激化が価格上昇に拍車をかけており、都心・郊外を問わず価格上昇傾向がいまだ強い。近畿圏においては大阪市・京都市の中心部にディベロッパーの買い需要が集中しており、こちらも価格上昇傾向だという。地方圏でも、中心市街地エリアや半導体企業の向上進出があるエリアでは価格が高騰している。
戸建分譲については、建築費の高騰・物価上昇による実質賃金低下によってユーザーマインドが決して高くない状況となっている。そうした中で、同社では4~7月の累計契約金額は前年同期と比べて土地が13%増・分譲住宅は34%増と上々の業績を残した。用地仕入れに関しては、地方圏では落ち着いてきたものの、大都市圏に関しては適地が希少化しているため価格は上昇傾向にあるという。同社では販売が長期にわたる100区画クラス用地の大型入札をあえて避けて2~3戸程度の小規模な用地仕入れを強化して相対取引を増やすことや、設計の効率化、竣工販売の強化などで販売価格への影響を軽減しているという。