不動産ニュース / 開発・分譲

2024/11/19

「大阪マルビル」を建て替え。外観継承した超高層複合ビルへ

「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」の建て替え後の建物イメージ

 大和ハウス工業(株)は19日、「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」(大阪市北区)の概要を発表した。

 「大阪マルビル」は、敷地面積約3,246平方メートル、延床面積4万1,069.4平方メートル、鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造地上30階地下4階建て。ホテルおよびテナントビルで構成され、大阪府の超高層ビル(高さ60mを超える建築物)の先駆けとして1976年に竣工した。円筒形のユニークな形状から大阪のランドマークとして親しまれてきたが、建物・設備の老朽化や周辺施設との競争力の低下から、2022年5月に建て替えを決定。24年9月に地上部分の解体を完工した。

 同プロジェクトでは、都市再生特別地区の制度を活用。宿泊・文化・イノベーション・集客・交流機能等の集積を図り、大阪の国際競争力向上に資する施設整備を行なう。建て替え後の建物は、延床面積約7万4,000平方メートル、地上が鉄骨造、地下が鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・鉄筋コンクリート造地上40階地下4階建て、高さ約192m。展望スペースやミュージアム、ホテル、イノベーションオフィス、コンサートホール・舞台、商業施設などで構成する。

 ホテルは、ラグジュアリーホテルや都市型ホテルを誘致し、総客室数約280室を計画。イノベーションオフィスは、多種多様な人や情報が集まるワークスペースを設置し、入居するスタートアップ企業の成長を支援するプログラムやコミュニティの提供を目指す。コンサートホール・舞台は、クラシックコンサートを主にしながら、舞台・客席の規模を変更できる設備を採用することで、多目的での技術体験ができる空間を設計。商業施設は、「大阪マルビル」の雰囲気を継承した空間にするとしている。

 「大阪マルビル」の建物形状を継承。円筒形状はガラスカーテンウォールで構成し、外装には緑化ルーバーを設けるほか、建物頂部には「回る電光掲示板」を設置する計画。地上には、半屋外の屋根下空間「ピロティ」を配し、まちに開放。そこから連続する周辺地域の歩行環境改善や修景も行なう。また、ピロティと連続する形で、地下2階から地上4階までの球体デジタルアトリウムを施設内に形成。地下街「ディアモール大阪」とつなぐことで、地下から地上、まちへとにぎわいをつなぐ。

 建物は、遮断熱性能を向上させるとともに、自然エネルギーや省エネ技術を採用することで、ZEB認証の取得を目指す。内外装には木材を利用し、CO2の固定化や森林資源循環などへ貢献する。また、BCP対策として、非常用発電機やコージェネレーションシステム、雑用水利用などによる電力や水のバックアップを行なう。

 同プロジェクトの工期は2025年冬~30年、開業は30年を予定。

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都市再生特別地区

都市計画において、用途地域等の規制の適用を除外して自由度の高い計画を定めることのできる制度、またはこの制度によって指定された区域をいう。 この制度は、都市再生を図るための措置の一つで、その対象となる...

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