(一社)日本女性ビジネスネットワーク協会(WBN)は22日、「女性活躍と国際化~世界から見た日本の女性活躍と国際化への道筋~」をテーマに、すまい・るホール(東京都文京区)でシンポジウムを開催した。
同協会は、女性がより快適に仕事に従事し、活躍できる環境を考えることで、ビジネスの場や社会全体のあり方を根本から改善していくことを目的に、2016年1月に設立されたもの。
冒頭、同協会理事長の三橋博巳氏が「当協会を設立して8年目を迎えた。この間、女性の活躍が目覚ましい。特に今年は、検察トップの検事総長、日本弁護士連合会会長、南極観測隊隊長に初めて女性が就任した。女性活躍の時代が到来したと実感しているところ。とはいえ、諸外国に比べるとまだまだという感は否めない。女性がいきいきと仕事ができる環境を整備するなど、今後も女性活躍を一層支援していく」と挨拶。
来賓を代表し、国土交通省大臣官房審議官(不動産・建設経済局担当)の堤 洋介氏は、「不動産業は社会にあらゆる種類の場を提供しており、常に時代の最先端のニーズに応えていく産業。不動産業界で働く女性が、ひいては全産業の女性をけん引していく立場になることを期待したい」と激励した。
ゲストスピーカーとして、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課長の川合紀子氏が登壇。同氏の米国での経験が日本の行政課題の理解に役立った事例として、「ワーキングプア問題」「高齢者の住まい対策」「官民連携によるまちづくり活動」などを紹介。また、女性活躍について「ライフイベントとキャリアを『二元論』で考えないこと。その時々で果たせる役割はあるはず」とし、「さまざまな人の『いいとこ取り』をしていけばいい。誰もが次の世代のロールモデルになり得る」と考えを述べた。
アジア型グローバル人財開発&バイリンガルコンピタンスコンサルタントの松田豊弘氏は、三菱商事(株)で継続的にグローバル人材開発に注力してきた取り組みを披露。パネルディスカッションに向け、日本企業での女性・外国人役員登用の課題も投げかけた。
また、SUUMO副編集長兼SUUMOリサーチセンター研究員の佐々木 綾香氏は「不動産業界のジェンダーギャップを考える」をテーマに講演。「女性は仕事に対するモチベーションが高いものの、転職意向も高い」と言及し、その理由について「『今の仕事は楽しいが、続けることは難しいだろう』といった状況に置かれていることが想定される」と話した。「子育てや介護を両立している女性には、勤務時間・場所などに柔軟性が求められている」(佐々木氏)。
引き続き、川合氏、松田氏、佐々木氏と、日本マイクロソフト(株)カスタマーサクセス事業本部本部長の松田典子氏が加わり、パネルディスカッションを実施。日本の「国際化」に必要なものについては、「本人の心持ち次第。継続性と積極性があるかどうか」「まずは自分と自国を理解すること。その上で相手と有意義な議論が展開できる」などの意見が挙がった。また、女性活躍をどう進めるかでは「家庭も仕事も頑張ることには限界がある。男性の積極的な家事参加が必要」「働き続けられる制度の整備が必須」「リーダー像は変化している。今までとは違うタイプのリーダーを擁することも検討する価値があるのでは」といった発言があった。
閉会の挨拶に、同協会理事で(一社)不動産女性塾塾長の北澤艶子氏が登壇。「本日のセミナーも、参加者と共に学びを得ることができる有意義な内容だった。今後もさまざまなセミナーや勉強会を行なうことで、女性活躍につなげていければ」と締め括った。