不動産ニュース / イベント・セミナー

2025/1/30

25年のオフィス市場は「デフレ脱却」をキーワードに

第26回「新春特別ビル経営セミナー」の様子

 (一社)日本ビルヂング協会連合会 日本ビルヂング経営センターは29日、日比谷国際ビル(東京都千代田区)で、第26回「新春特別ビル経営セミナー」を開催。「人が主役の街づくりと多様な働き方に対応するオフィスを考える」をテーマに、4人が登壇し講演を行なった。

 開会に当たり、会長の木村惠司氏が挨拶。「クリエイティブな仕事のためには、リアルの場で一緒になって意見交換をし、議論をし、多様なメンバーを加えながら新しい仕事を創り出していくことが必要。そのためには、考えられる場所、ゲームができる場所、休める場所、アルコールが飲める場所など、多様なオフィススペースが求められてくる。付加価値の高いオフィス空間を提供し続けていくこと、世界から選ばれる都市になるまちづくりは不可欠だ」などと述べた。

 まず、東急(株)代表取締役会長の野本弘文氏が「『楽しさ』『豊かさ』『美しさ』を追求する東急グループのまちづくり」と題し講演。東急沿線、二子玉川、渋谷におけるそれぞれのまちづくりの概要や構想について述懐した上で、「オフィスはこれまで事務をするためだけの場所だったが、これからはクリエイティブな発想を触発される、想像が膨らむ場所でなければならない。行きたくなるオフィスを作る必要がある」などと語った。

 日本オフィス学会会長で(株)松岡総合研究所代表取締役の松岡利昌氏による「オフィスから会社を変える~人的資本経営の革新はオフィスにあり!~」、三菱地所(株)新事業創造部長の井上和幸氏による「三菱地所が取り組む新事業創出とスタートアップ投資、エコシステムの構築」が行なわれたのち、最後は(一財)日本不動産研究所シニア不動産エコノミストの吉野 薫氏が「国内外のマクロ経済情勢を踏まえたオフィスビル市況の見通し」をテーマに講演。
 同氏は、主要都市ビジネス地区におけるオフィス空室率の改善やオフィス賃料の上昇といったデータを引き合いに、2024年を「全般的に見れば、全国的にオフィスマーケットは好調だった。コロナ禍以降のオフィス市場のつまずきのようなものがかなり払拭された1年だ」と総括。その上で、企業の業績や業容拡大意欲が旺盛であることから、「25年もオフィスの実需は堅調に推移するだろう」とコメントした。
 今後の見通しについては、「金利の上昇が避けられない中、売買市場におけるオフィスのマーケットが維持されるためには、投資家に『賃金は上がっていく』という見方を強めてもらうことが不可欠。25年はこれまでのオフィス市場改善の動きをよりしっかりとしたものにしていかなければならず、不動産の真価が問われる1年だ。ぜひ『デフレ脱却』をキーワードにしてほしい」と強調。さらに、「ビルオーナーにとっては、オフィス需要をどのように捉えていくかが重要。構造的な変化に目を配りながら、オフィス経営をこれまで以上に改善してほしい」と注文した。

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