日本物流研究会(NBK)は18日、第302回セミナーをホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で開催した。
NBKは、トラック輸送を中心とした物流業界の専門紙「日本流通新聞」を発行する(有)新日本流通新聞社が設置する物流研究機関。偶数月に講師を招き年6回、時宜に応じたテーマの経営セミナーを行なっている。今回は、「営業が強くなければ大きくならない―物流不動産ビジネスから学んだこと―」と題し、イーカーゴ(株)代表取締役社長の鈴木 清氏、イーソーコグループ会長の大谷巌一氏が講演した。
開会に当たり、まず大谷氏が挨拶。「物流業と不動産業の良いところをミックスしたのが物流不動産という新しいビジネス。この分野は、確かに不動産のリーシングがメインだがそれは一部に過ぎず、物流業のスキルを持っている方が有利。このセミナーに来た皆さんにはチャンスがあると思っている。ぜひ一緒にやっていきたい」と話した。
続いて鈴木氏が、常務取締役を務める秋元運輸倉庫(株)での自らの経験を同社入社時から述懐。営業活動で同社の知名度がゼロであることを痛感しながら、大谷氏を通じ物流不動産ビジネスと出会ったことが転機となり、成功や失敗を重ねながら徐々に同社と自身のブランディングを図っていった経緯などについて語った。その上で、「営業が強ければ会社はどんどん大きくなる。現状維持は後退。人も企業も変わり続けなければ将来はない」と強調した。
さらに、「物流不動産ビジネスの魅力は、それぞれの本業のネットワークを生かして得た情報がオンリーワンの強みになるところ。また、異業種からの参入も増えればその分広い分野の情報が集まり、ビジネスとして活性化していくはずだ」と述べた。
その後、再び大谷氏が登壇し、勤めた東京倉庫運輸(株)での自身の体験から「空いた倉庫を埋めるビジネスは不動産業。だから物流業界にはあまりライバルもおらず、一方で倉庫の特性は一つひとつ違うため不動産会社もなかなか入ってこられない。これは商売になると確信した。また、今の社会は既得権益が薄れてきており、新しいビジネスを生むチャンス。物流不動産の業界化に力を入れていきたい」と語った。