オリックス・ファシリティーズ(株)は25日、1月1日付で就任した代表取締役社長・稲葉 康氏が専門紙記者と会見。今後の事業方針等について語った。
同社は1970年京都で設立。京都府内の官公庁施設を中心に設備管理を開始。現在は、大学施設、病院施設、オフィスビル、商業施設、宿泊施設など多様な施設へと管理の対象を拡大。ビルマネジメント事業を発展させるとともに、建築内装工事等も手掛けている。全国16拠点、223事業所において管理する施設は約4,300件(2025年2月時点)。
足元の事業環境については、「特に新築における建築費の高騰が問題となっているが、ビルメンテナンス事業においては、既存の“今ある建物(資産)の価値をどれだけ上げられるか”が重要。この考えは多くのビルオーナーにも浸透している。オリックスグループの信用力、そしてこれまで培ってきたビルマネジメントの技術力を生かせる好機。業界自体は追い風と捉えている」と話した。
DXの導入では、ビル管理・工事業務の効率化を目指し試行錯誤しているが、「スマートビルディング化はまだまだ進んでいない」(同氏)。そうした中でも、「現場のスタッフには“適切な提案力”と“コミュニケーション能力”が必要。現場を実際に見て、人が適切な提案をすることで、資産価値を維持・向上できると考える。それがわれわれのミッション」とし、「すべての業務をDX化するのは難しいが、省人化できる箇所のトライアルを繰り返し行ない、人手不足、高齢化という課題に対応していく」とした。
また、「近年はコストより“安全面”を重視した管理が求められており、もちろん当社もそこを目指している。人材不足の中、人のリソースをいかに配分していくか、これが極めて重要な視点。高品質な管理を求める顧客に人材を集中し、満足度を高めていく」と語った。
さらに、管理の“質”を維持・向上させるために、「当たり前のことを当たり前に、かつ高いクオリティで毎日繰り返し行ない、必ず記録にとどめておくことを継続する。そうすることで、建物の安全性を示すことができる」と言及。「工事部門を有する当社は、ビルマネジメントの提案と合わせたワンストップサービスを提供できることが強み。これを武器に、より一層の資産価値向上に取り組んでいく」と語った。