(公社)全日本不動産協会と同協会の研究機関である全日みらい研究所は9日、「不動産業界の担い手確保に関する実態調査レポート」を発表した。
日本社会では生産年齢人口や新規学卒者の減少が進行しており、不動産業界でも長期的な視点で人材の確保に努めていくことが求められている。そこで、業界が抱える働く環境としての課題把握と、業界の担い手確保のための対策を検討することを目的に調査等を実施し、レポートとしてまとめた。
2024年8月に不動産業界で働いた経験のない15~39歳の男女を対象に行なったアンケート調査によると、不動産仲介業で働くことに「興味がある」と答えた人はわずか5.15%で、「どちらかというと興味がある」(14.75%)を合わせても20%に満たなかった。一方、「興味がない」(59.5%)、「どちらかというと興味がない」(20.6%)の合計が80%を超えた。
「興味がない」「どちらかという興味がない」の回答者にその理由を聞いたところ、最多回答は「仕事内容が魅力的でない」(26.9%)。以下、「成果主義だから」(25.8%)、「休日・労働時間が適切でないから」(25.5%)が続いた。
なお、協会会員を対象とした調査で、働く環境としての不動産業界のウィークポイントについて聞いたところ、1位「安定性」(24.6%)、2位「休日・労働時間」(21.0%)、3位「成果主義」(14.6%)となり、「成果主義」「休日・労働時間」をウィークポイントと捉える人が一般・協会会員の両方で多いことが分かった。
調査結果から、不動産業界の担い手確保に向けて、各社に合った手法での「働き方・休み方の見直し」、これからの社会の担い手に対しての「仕事の魅力の効果的な周知と働きかけ」の2つの課題を抽出し、解決のためのアイディアを紹介。先進的な取り組みを行なう朝日リビング(株)(東京都町田市)と(株)旧三福不動産(神奈川県小田原市)のインタビューも掲載している。
レポートは同研究所ホームページで公開している。