不動産ニュース / 開発・分譲

2025/4/23

三菱地所、英国で大規模オフィス2PJを始動

「72 Upper Ground」の完成予想図
「1 Victoria Street」の完成予想図

 三菱地所(株)は23日、英国・ロンドンでの大規模オフィス「72Upper Ground」と「1 Victoria Street」の2つのプロジェクトを本格始動したことを明らかにした。いずれも英国法人の三菱地所ロンドンを通じた100%出資で、総事業費合計は約2,480億円。

 「72 Upper Ground」は鉄道や地下鉄など複数路線が乗り入れる「Waterloo」駅まで徒歩8分。産業革命期には倉庫・工場街として栄え、戦後に開発が進み現在はコンサートホールなどの文化施設、商業、住宅の集積するサウスバンクエリアに立地。2019年に同社が旧ITV本社・スタジオビル(1972年竣工)を取得し、再開発を進めている。総事業費は約1,600億円と、同社の欧州での開発事業では過去最大規模となる。

 北棟(14階建て)と南棟(25階建て)の2棟構成で、オフィス・商業の複合施設とする。延床面積は約9万1,200平方メートル、オフィス貸付有効面積は約5万3,400平方メートル。ロンドンで供給がひっ迫するグレードAクラスのオフィスで、約900~6,000平方メートルの幅広いオフィス床を提供。2棟の連結部分には低廉な賃料設定のアフォーダブルオフィスを用意し、文化・芸術分野のクリエイターの成長を支援する。

 また、テムズ川沿いの景観保全地区内に所在していることから敷地の40%を公開空地として、リバービューを最大限に生かした設計を採用。川沿いの遊歩道と連携したオープンスペースも創出していく。環境面でも優れた設計・仕様を採用。鉄骨量の削減やガラスファサードによる省エネ、再エネの使用などによって英国内外の各種環境認証の最高評価を取得する予定。

 竣工は2029年の予定。

 「1 Victoria Street」は、総事業費約880億円。国会議事堂やウェストミンスター寺院などの歴史的建築物のある保全地区に隣接した自社保有物件の大規模改修プロジェクト。13年に同社が取得し、政府系テナントに賃貸していた。24年1月にテナントが退去したことを受け、大規模改修に踏み切った。25年1月には既存建物の一部解体に着手している。

 地下鉄「St James’s Park」駅徒歩4分など2駅3路線を最寄りとする以外にも複数路線が乗り入れる「Victoria」駅も徒歩圏内と、アクセス性に優れた立地。建物は地上10階地下3階建てで、延床面積は約6万5,700平方メートル、オフィス貸付有効面積は約3万4,800平方メートル。アフォーダブルオフィスを含むオフィスと商業で構成した複合ビルとなる。

 既存躯体の約52%に相当する地下躯体を再び活用することで、建築に伴うCO2排出量を削減。解体部分についても極力資材をリサイクルしていく。竣工後も再エネ利用や省エネ設備の採用することで、こちらも各種環境認証を取得する予定。また、各フロアにテナント専用テラスを設置し、ウェストミンスター寺院の眺望を最大限に生かす。さらにジムやタウンホールといったテナント共用のアメニティスペースを下層階に設置し、ワーカーのウェルビーイング向上に貢献する。

 28年の竣工予定。

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