(株)価値総合研究所と(株)ニッセイ基礎研究所は16日、「わが国のホテル投資市場規模(2024年)」に関する調査リポートを発表した。
同調査では、ホテル・旅館の「収益不動産ストック」を把握するため、(1)現存するものすべてを対象とする「収益不動産」と、(2)機関投資家の投資意欲が特に強い立地要件を満たす「投資適格不動産」のカテゴリーに分類し、推計。ホテル・旅館の資産規模は「収益不動産」で約17兆円(前年比71%増)、「投資適格不動産」は約11兆7,000億円(同58%増)となった。24年はNOIの大幅な回復とキャップレートの低下を受けて、前回の調査から大幅に拡大し、「収益不動産」「投資適格不動産」ともに過去最高水準を更新した。
各カテゴリーにおける「JREIT」の保有比率を見ると、「収益不動産」で14%、「投資適格不動産」で16%となり、21年の調査結果とほぼ同水準となった。
ホテル・旅館の「収益不動産ストック」に対する年間の取引量を確認すると、13年にスタートしたアベノミクス以降、国内外の投資資金が流入し、増加傾向で推移していた。しかし、コロナ禍の影響を受けて20年の取引額は約2,700億円(同47%減)に半減。その後、急速な宿泊需要の回復に伴い、取引額も23年以降大幅に増加し、24年は約9,000億円(同20%増)となり、過去最高水準を更新した。
「収益不動産」を都道府県別にみると、「東京都」が約5兆6,200億円(占率33%)と最も大きく、次いで「大阪府」が約1兆8,600億円(同11%)、「神奈川県」が約9,700億円(同6%)、「京都府」が約8,900億円(同5%)、「北海道」が約8,500億円(同5%)と推計された。東京都については、オフィスや賃貸住宅と比較すると占率は低く、地方にも一定の市場規模が存在していることが分かった。
「延べ宿泊者数」と収益不動産の資産規模の関係を見ると、価値総研の推計で30年の延べ宿泊者数は約7億人泊(対23年比114%)に拡大すると見込まれ、特に外国人延べ宿泊者数は約2億1,000万人泊(同182%)と大幅な増加が予測される。また、収益不動産の資産規模が比較的小さい一方、外国人比率の高い山梨県や岐阜県、福岡県、大分県などは、収益不動産の資産規模拡大が期待されるとしている。